「モノ言う株主」が帰ってきた!? SBIとアコーディア株の買占めで証券市場に復活をアピールした村上世彰氏の狙いとは
〔PHOTO〕gettyimages

 「モノ言う株主」の村上世彰氏が、完全に復活した。

 証券市場に、再びその名をとどろかせたのは、昨年10月17日だった。この日、村上氏が影響力を行使する投資会社「レノ」が、SBIホールディングス(SBI)の大量保有報告書を提出、5.82%、時価総額にして73億8,200万円を持つ大株主となった。

 そして今年は、年初の1月7日、ゴルフ2強のアコーディア・ゴルフ(アコーディア)とPGMホールディングス(PGM)の争いに割って入る形でアコーディア株を買い占め、結果的にPGMの敵対的買収を「不成立」にさせた。投下した資金は約150億円。両社はもちろん、証券界の誰もが、横から参戦した村上氏の真意を測りかねている。

 しかし、それでいいのだろう

 直接、経営に携わることなく、株を買い占めて経営陣に要求をつきつけ、株価をつり上げて、売り抜けるか、受け皿の企業を探すのが、これまでの村上氏の手法だ。狙いはもちろん、資金的背景も分からないほうが、虚像が膨らみ、思惑買いを呼び、「勝利の方程式」を描きやすい。

村上氏の登場はSBIにとって"援軍"だった

 SBIで存在を証明、アコーディアで完全復活した村上氏の軌跡を辿りたい。

 まず、なぜSBIだったのか。

 SBIの代表は、野村證券出身で、かつて孫正義氏の右腕だった北尾吉孝氏。村上氏はニッポン放送株買収を手がけ、ライブドアを巻き込んだ売り抜けをめぐるインサイダー事件で逮捕された。その際、北尾氏はニッポン放送とフジテレビの「ホワイトナイト(白馬の騎士)」として登場した。

 北尾氏は、その後、上昇気流に乗り、孫氏から離れてSBIを金融コングロマリットに育て上げる。一方の村上氏は逮捕起訴され、保釈中は、シンガポールでの逼塞した生活を余儀なくされた。

 明暗を分けた2人だが、一昨年6月、上告を棄却され、懲役2年、執行猶予3年の刑が確定した村上氏は、レノを中心に、不動産業と、投資業を活発化させる。そのとき、なにかと目立つSBIを投資先に選んだのは、「"性"としかいいようがない」と、かつての事業パートナーは明かす。

 「SBIは、経済月刊誌のFACTAと長い戦いを繰り広げ、微に入り細を穿って書きたてられ、それが証券監視委の関心と、証券界の不評を買っている会社です。SBIは疑惑を否定し、名誉毀損訴訟を起こしていますが、決算を粉飾しているという疑惑の連続指摘は、ボディブローのような効果をSBIに与えています。そんな騒ぎの渦中にその会社の株をなぜ買ったのか。おそらく村上氏は、騒動の渦中にいて注目され、自分の存在証明をしたかったのでしょう」

 再度、名が売れ、注目を集めれば、"仕掛け"がしやすいという計算もあるのではないか。それに「モノ言う株主」という"立ち位置"は、騒動を好む村上氏の気質に合う。それが先のパートナーがいう"性"である。

 一方で、村上登場は、証券市場に不信の目で見られ、側近が次々にSBIを去り、孤独な戦いを強いられている北尾氏にとって"援軍"となった。

 そのパートナーシップが、「傘下」ではないが、共同歩調を取る青山浩氏が代表のウェブクルーとSBIグループとの資本・業務提携だろう。昨年10月、ウェブクルーがSBI損害保険の株を16億2,000万円分(5万4000株)引き受け、逆にSBIは、ウェブクルーの第三者割当による新株予約権付社債15億円を引き受けた。

 昨年12月6日ごろから、レノは「売り」に転じている。1月15日の時点で200万株を超え、5%を割って、大量報告書の提出義務がなくなったが、売却代金は14億円以上に達する。

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