二大コンサルトップに聞いた日本の製造業の未来!
外国人役員を登用することはグローバル化の活路になるのか

2013年01月28日(月) 田村 耕太郎

微妙に食い違う世界二大コンサルの見方

 世界の二大コンサルティング会社の日本のトップを務める方々と別々に、同じテーマで議論した。テーマは「日本の製造業のグローバル化」について。二人の言い分が微妙に違っておもしろかった。一応内々の話なのでイニシャルで会社名がわからないように一社はA社。もう一社はB社とさせていただく。A社のトップは日本の製造業の未来を非常に悲観。このままでは日本の製造業は衰退し雇用が生み出せなくなると見ていた。B社は比較的楽観的だった。

 1997年ごろ、サムソンは時価総額でパナソニックの3分の1くらいだった。ところが、2013年にはサムソンの時価総額はパナソニックとソニーを足したものの三倍以上の時価総額となっている。リチウムイオン電池では、2000年には日本メーカーのシェアは90%以上あった。これが2010年には中国と韓国メーカー合わせたシェアが60%となり、日本のメーカーのシェアは半減している。

 ILOのデータをもとにA社が作成した見込みデータによると、2015年の製造業労働コスト比較では米国を100として日本の製造業労働コストは175でアメリカの倍近い。日本は天然ガス買い取り価格も米国の三倍以上。産業用電力コストもアメリカの2.5倍、ドイツの2倍近くとなっている。モノづくりを続けるコストが高過ぎるのだ。

高すぎる日本での製造コスト

 2015年の主要輸出国平均製造コストの見込みでも、主要国でイタリアと並んで日本が最もコストが高い。アップルをはじめとした米国の製造メーカーが米国内に拠点を回帰させており、日本もそうなることを期待したが、これだけデータで日本のモノづくりのコストの高さを知らされると米国と同じことは期待できない。

 もう一つはA社が見せてくれたのは外国人役員比率。日本は海外売上高が高いキャノンやトヨタやニンテンドーやパナソニックでもゼロ。資生堂で一人。ソニーが6名と健闘しているくらいだ。A社のトップは、「日本企業は売上高がグローバル化している割に、現地の人材にチャンスを与えモチベーションを上げることに力を入れていない。」と手厳しい。一方今や日本を上から目線で見る韓国勢は現地のマネジメントの大半を現地人材にまかせているようだ。

 コンサルタントから見ての日本企業の必敗パターンも教えてもらった。必勝パターンはないが、必敗パターンはあるようだ。これは経営陣のミーティングに同席しての彼の感想だ。




COURRIER最新記事
Ranking

「クーリエ・ジャポン」

More
Close

田村 耕太郎

(たむら・こうたろう) 前参議院議員。エール大学上席研究員、ハーバード大学研究員などを経て、世界で最も多くのノーベル賞受賞者を輩出したシンクタンク「ランド研究所」で唯一の日本人研究員を務めた。
国立シンガポール大学公共政策大学院名誉顧問、新日本海新聞社取締役東京支社長。
1963年生まれ。早稲田大学卒業、慶応義塾大学大学院修了(MBA取得)。デューク大学ロースクール修了(法学修士)、エール大学大学院修了(経済学修士)、オックスフォード大学上級管理者養成プログラム修了、ハーバード大学ケネディスクール危機管理プログラム修了、スタンフォード大学ビジネススクールEコマースプログラム修了、東京大学EMP修了。
2002年から10年まで参議院議員を務めた間、内閣府大臣政務官(経済財政、金融、再チャレンジ担当)、参議院国土交通委員長などを歴任。
シンガポールの国父リー・クアンユー氏との親交を始め、欧米やインドの政治家、富豪、グローバル企業経営者たちに幅広い人脈を持つ。世界の政治、金融、研究の第一線で戦い続けてきた数少ない日本人の一人。
2014年8月、シンガポールにアジアの地政学リスクを分析するシンクタンク「日本戦略情報機構(JII)」を設立。また、国立シンガポール大学(NUS)リー・クワンユー公共政策大学院の兼任教授に就任し、日本の政府関係者やビジネスリーダーに向けたアジア地政学研修を同校教授陣とともに実施する。
著書に『君に、世界との戦い方を教えよう 「グローバルの覇者をめざす教育」の最前線から』などがある。