習近平総書記と公明党山口代表との間を取り持った「北京の空気」

2013年01月28日(月) 近藤 大介
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 習政治の最大の特徴と言えば、この「慎重さ」にあると私は見ている。習総書記は、その極めて慎重な性格ゆえに、8260万共産党員のトップまで上り詰めることができたのである。

 だからホンネとしては、日本との関係を改善したい。というより、周辺国とはなるべく波風を立てたくない。習総書記にとって、昨年秋の狂ったような反日デモは、胡錦濤総書記との権力闘争という別の側面があったのだ。

 一般論として、新たな権力者は、前任者の側近たちを一掃して、自分の側近を引き上げたがるものだ。だが、日本のように総選挙があれば一挙にカタがつくが(つまり安倍政権の要職に野田政権の要職はいない)、中国のように一党体制で民主選挙もやらずに継承する場合は大変なのだ。10年前の胡錦濤総書記は、SARS騒動を利用して、前任の江沢民派の幹部たちを引退させていった。今回、習近平総書記は、「反日」を利用して同様のことを行ったというわけである。

 この手法は、習総書記の想像以上に成功を収めた。そこで、もはや「反日」は必要なくなったのである。

 習総書記にとって誤算だったのは、この「反日」にかこつけて、人民解放軍が台頭したことだった。どの国でも軍というのは、最も強硬である。人民解放軍の幹部には習総書記と同じ「太子党」(革命元老の子弟)が多いだけに、その声を無視するわけにはいかない。それで「反日」の拳を上げ続けているというわけだ。

 もちろん、習近平という政治家は、前任の胡錦濤と較べれば、「親日度」という点では、かなり落ちる。むしろ「抗日戦争に勝利して中国共産党が建国した」という自負が強い政治家だ。だが「日本=敵」と決めつけるほど単純でもなく、前述のように「この上なく慎重な政治家」なのである。

直ちに計り知れない危険が及ぶレベル

 だいぶ前置きが長くなったが、私は習近平総書記が今回、日本と話し合う姿勢を見せた大きな要因として、「北京の空気」にあったと見ている。空気というのは、「政治の雰囲気」とかいうことではなくて、文字通り「空気」である。

 中国は2月10日に、中国人が一年で最も大事な日「春節」(旧正月)を迎える。その直前の今時というのは、中国人が一番せわしく、またイライラする時期である。

 そこへ「死に至るほどの」空気汚染が、中国全土を襲ったのである。首都・北京も連日、大変なことになっている。視界ゼロで、外出時にはマスクやゴーグルをつけて、顔をマフラーでグルグル巻きにしないと家から出られない。ひと昔前に「冬ソナルック」というのがあったが、今年の冬の「北京ルック」は、そんなオシャレなものではない。

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