アベノミクス成功のカギを握る「規制改革会議」で私がネット公開を要望した理由

 アベノミクスの三番目の矢である「成長戦略」が動き出した。その舞台が産業競争力会議と規制改革会議である。これは同じ話の裏表のような関係にある。

 産業競争力会議は「経済活性化に何が必要か」をミクロ政策の観点から大枠で議論し、規制改革会議は活性化の達成手段として具体的に規制のあり方を見直す。私はそう理解している。

 実は、私自身が安倍晋三首相から規制改革会議の委員に任命された。初会合が1月24日、首相官邸で開かれたばかりである。そこで今回は「成長戦略」について、私なりの考え方を述べてみたい。

成長につながる規制改革と教育改革

 まず、成長戦略にカギカッコを付けて表記したのは理由がある。「これをやれば必ず経済が成長する」というような魔法の杖のような戦略はないからだ。

 それは、たとえばアフリカをみればあきらかである。アフリカには安い労働力と豊富な資源がある。なのに、なぜ200年間も事実上、成長が止まったままなのか。

 その理由には、いろいろな議論がある。たとえば「アフリカには機能する効率的な政府がないからだ」と言われている。役人や政治家が汚職にまみれ、法の支配も貫徹しない。そういう状態では民間企業が活動しようにも、さまざまな障害にぶつかって仕事がうまくいかない。だからまず「グッド・ガバナンス(良い統治)」が大事だ。そういう議論である。

 それは、たしかに一理ある。しかし、たとえば東アジアはどうなのか。東アジアの国々も長い間、成長が止まった状態だったが、徐々に離陸し、いまや世界の成長センターとまで言われている。汚職がなくなったからか。それはまだ多少、残っている。中国は汚職が多いけれども、成長した。

 東アジアが成長できたのは、貿易自由化を進めて世界に市場を広げたからだ、という議論もある。「貿易が経済を離陸させる」という話はその通りだ。日本もそうだった。だが、アフリカは貿易していないのかと言えば、そんなことはない。結局、何が成長をもたらすのか、すっきりした統一理論はまだない。

 これに対して日本、欧州、米国のような先進国については「こうすれば成長にプラスなんじゃないか」という大まかな一致点はある。それが規制改革と教育改革である。

 先進国の集まりである経済協力開発機構(OECD)がなぜ存在するか、といえば、みんなが集まって互いの経験を持ち寄り、良さそうな政策を共有するためだ。

 日本だけでなく、どの国にも既得権益集団というのはある。経済が離陸する過程で成長した産業分野にいち早く参入していた企業は、自分たちだけのインサイダー・グループを形成し、後から入ってくる新規参入組を阻もうとする。そのほうが利益が大きくなるからだ。これはどこの国でも同じ理屈である。

 だから規制改革を進めるには、他国の経験を学んで、かつ学ぶだけでなく、できれば「あなたの国もこうすべきだ」と外から圧力をかけてもらうことが重要になる。自分の国だけではなかなかできないことを「他国はこれでうまくいった」という実例を見せて、改革への大義名分、テコにするのだ。

 これをOECDは「ピア・プレッシャー(友人の圧力)」と呼んでいる。友人同士で互いに圧力をかけ合う。それこそがOECDのもっとも重要な機能である。そんなOECDが経験の交流を深める中で、規制改革と教育改革が重要という理解が進んだ。

この続きは、プレミアム会員になるとご覧いただけます。
現代ビジネスプレミアム会員になれば、
過去の記事がすべて読み放題!
無料1ヶ月お試しキャンペーン実施中
すでに会員の方はこちら