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中国軍 政府機関の資料が示す「年内尖閣奪取」に出撃するのはこの部隊だ!
人民解放軍の艦船で演習を視察した習近平総書記。軍部にひきずられる形で日本攻撃を指示する可能性も〔PHOTO〕gettyimages

「尖閣周辺には中国の船や航空機が連日のように姿を見せ、尖閣が中国領だという〝既成事実〟を積み上げようとしている。中国が今年尖閣奪取に向けて更なる行動に出てくるのは間違いありませんし、粛々と〝対日開戦〟の準備を進めているのも事実なのです」

 尖閣諸島周辺の警備に当たる海上保安庁の幹部は、こんな懸念を示す。

 安倍新政権が誕生してからも執拗に繰り返される、尖閣周辺への中国籍の艦船や航空機による領海・領空侵犯。これに対して安倍政権首脳は「警告射撃を行うことも検討すべきだ」と強気の姿勢を見せる。中国の攻勢に対し、こちらも本気であることを示せば、いずれ中国は撤退し、また平穏が戻るだろう---日本人の多くがそう考えているのではないか。

 しかし、中国の軍部は「もはや釣魚島(尖閣諸島の中国名)問題は、引くに引けない段階まで来た」と腹を括っているのである。

〈2013年は中国にとって前進の年となる。全軍、戦争の準備を進めよ!〉

 1月上旬、中国人民解放軍を指揮する総参謀部が、解放軍全軍に対して衝撃的な指令を下した。総参謀部は年初頭、全軍にその一年の解放軍の方針を示す「軍事訓練指示」を伝えるのだが、その指示のなかに「戦争準備を万全に行い、実戦に対応できるよう部隊を十分に訓練するように」との文言があったのだ。これは極めて異例のことである。そして、その仮想敵国は、ずばり日本だ。人民解放軍はいま、日中開戦という事態を、現実のものと捉えはじめている。

 中国は昨年末より尖閣上空に頻繁に航空機を飛ばし始めたが、それも〝対日戦〟への布石のひとつだという。防衛省の幹部は、「単なる威嚇や〝いやがらせ〟ではなく、尖閣争奪戦を想定し、日本の戦力分析を始めた事を意味する」と分析している。

「航空機出動に対して、日本はF15をスクランブル発進させていますが、中国は『自衛隊機がどこから発進するのか、どのくらいの時間で尖閣に到達するのか』という情報を集めているのです。さらに中国は1月10日、F15の発進に対抗して、主力機『殲10』を出動させました。日本の主力機と自軍の航空機の運動性能を比較する〝模擬戦〟を仕掛けたということです」

 情報収集を進めているだけではない。中国は昨年末、尖閣での戦闘を想定した〝極秘訓練〟を行っていたという。防衛省の幹部が続ける。

「中国政府と人民解放軍が作成した報告資料を今年初頭に入手したのですが、それによると、昨年末に中国海域内の島で、複数の戦闘艦隊が参加した上陸訓練が行われた模様です。その訓練内容は、まず艦隊を洋上に展開し、島の半面を囲むようにする。その後、戦闘機を発進させ、洋上の敵艦と、島周辺に配備された火力兵器を攻撃する。そして、水陸両用の揚陸艦が上陸を敢行する、というものです。これが、尖閣上陸を想定して行われたものであることは間違いありません」

中国軍幹部は自信満々

 この訓練に参加したのは、浙江省に司令部を置く『東海艦隊』という部隊である。防衛省幹部は、尖閣有事の際には、この東海艦隊が日本に攻めてくると言う。

「東海艦隊には30隻以上の駆逐艦・フリゲート艦、20隻以上の潜水艦と揚陸艦が配備されている。加えて〝中華版イージス艦〟と言われる蘭州級や最新型攻撃潜水艦・商級が出動することになる。さらに、主力機『殲10』も配備されれば、海・空戦の態勢は万全となるのです。もし本格的な艦隊戦が行われるようになれば、対艦ミサイル『東風21』の発射準備も行うでしょう」(同前)

 情報収集に上陸訓練。そして人民解放軍総参謀部による「訓告」。中国の準備は着々と進められており、あとは〝きっかけ〟さえあれば、いつでも戦闘を始められる、という状態なのだ。そして、その〝きっかけ〟は案外早く訪れるかもしれない、と人民解放軍の関係者は明かす。

「現在中国が尖閣周辺に出動させている航空機は、Y8やY12という、30年も前に製造された超旧式のもの。警告のために自衛隊機が近づけば、その風圧だけで壊れてしまうようなシロモノだ。もし墜落すれば、〝日本側が奇襲攻撃を仕掛けてきた。中国機の安全を確保する必要がある〟と言って、釣魚島を占領する口実とする」

 水面下で対日包囲網を敷く中国。対する日本の備えはどうか。前出の防衛省幹部が明かす。

「沖縄に配備されているF15戦闘機およそ30機と、佐世保を母港とするイージス艦・こんごうや、呉に配備されている潜水艦・そうりゅうなど10隻が主戦力として尖閣諸島に向かうことになるでしょう。これらの兵器の性能は中国のそれよりはるかに上をいっています。単純な物量では中国が上かもしれないが、質は日本のほうが圧倒的。普通に考えれば自衛隊が負けるはずはないのです。しかし、中国もそれを承知で日本を挑発している。尖閣での局地戦においては、物量作戦で押し切れると考えているのかもしれません」

 確かに、中国は尖閣戦に対して、不気味なほどの自信を見せている。昨年末に発行された中国の軍事研究誌『坦克装甲車輌』では、「離島防衛に関連した、中日水陸戦の戦力比較」という特集が組まれており、「機動性においては日本の車両のほうが優秀だが、防御性能においては中国の戦車のほうが優れている。中国の兵器は引けをとらない」と結論付けている。さらに、中国海軍の下部組織が作成している『艦船知識』の年末号でも、海上自衛隊の徹底的な戦力分析が行われ、〈日本の国力が相対的に低下する中、日中両国の力は中国に有利に移っている。さらに、釣魚島戦への中国の戦闘準備は進んでいるため、日本の劣勢は明らかだ〉との見解を示している。

 こうした国内の軍関係者向けの資料では、自国の戦力をひいき目に評価していることは否めない。しかし、中国がこれだけ執拗に「日本討つべし」と論陣を張るのを、「虚勢を張っているだけだ」と断言できるだろうか。前出の人民解放軍関係者は、「すでにわれわれの関心は、対日戦よりも対米戦のほうに注がれている」と明かす。

「われわれが釣魚島にこだわるのは、海洋資源が欲しいからでも、国のメンツのためでもない。わが国の最大の狙いは、釣魚島に軍事レーダー基地を建設することだ。それによって、沖縄に駐留する米軍の活動状況までつぶさに把握できるようになり、米軍に対する強い抑止力となる。想定される台湾有事に備えるためにも、今すぐ釣魚島を獲得することが必須なのだ」

 人員・装備・予算のすべてが膨れ上がった人民解放軍は、かつての旧日本軍のように次なる軍事目標を求めて政治に圧力をかけるまでになっている。2013年、日中対立はターニングポイントを迎えることになる。

「フライデー」2013年2月1日号より

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