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小池良次「シリコンバレー・イノベーション」
2013年01月25日(金) 小池 良次

デル買収支援に乗り出すマイクロソフト---パソコン王「マイケル・デル」の復活はあるか!?

 このように、長期的な視野で動こうとする経営者側と短期的で安定を望む株主側は、会社の経営方針でたびたび対立を生む。マイケル・デル会長はこうした「しがらみ」を取り除くためにMBOという手段を選んだ。会社を買収し、非上場企業にすれば、一般投資家に気兼ねせず思い切った再建策を実行できるからだ。

 このMBOをデル会長が仕組んだのか、それともシルバー・レイクが提案したのかは分からないが、少なくとも本格的な事業再建を狙っていることは間違いない。

アウトソースに頼りすぎたしっぺ返し

 シルバー・レイクとマイケル・デル氏がどのような再建策を打ち出すかは分からないが、普通であればクラウド・モバイル市場への本格参入を狙うことになる。しかし、そこには大きな課題がある。

 90年代、オンライン販売と徹底したアウト・ソーシングがデルの急成長を支えたことは有名だ。当時、店舗販売が主流だったパソコン業界で、デルはインターネットによる通販をいち早く進めた。顧客の希望に合わせてウェブ上でパソコンのカスタマイズを行い、発注を受けてから製造と発送を行うジャストインタイム方式で、大幅なコストカットに成功した。

 アウト・ソースでは台湾のエイスース(Asus)がデルのマザーボードの供給から付き合い始め、最終的には最終組み立てまで行った。無名のメーカーだった同社がデルのアウトソーシングを通じてパソコンの大量生産技術を身につけ、のちに自社ブランドのパソコン販売に踏み切ってデルと競争を繰り返したことは米国で有名な話だ。

 しかし、デルの強みであるオンライン販売とジャストインタイム生産は次第に、競争力を失ってゆく。最近のパソコンメーカーはいずれも高度なオンライン販売を行っており、デルとの差はなくなっている。一方、HPやアップルなども中国を中心にアウトソースを多用するようになり、デルは価格競争力を失っていった。

 逆にデルはアウトソーシングに頼りすぎたため、社内に製造技術や開発技術などの蓄積を持たない。しかも、デルはイノベーション部分をウィンテル陣営に依存した。インテル社の推奨設計をベースにウィンドウズOSによる機能拡張を頼り、自社でのパソコンにおける付加価値を追求しなかった。いったん他社に追いつかれると、差別化をするための社内技術や人材がいないという状況に追い込まれた。

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