デル買収支援に乗り出すマイクロソフト---パソコン王「マイケル・デル」の復活はあるか!?

小池 良次
Dell Inc.設立者のマイケル・デル氏 〔PHOTO〕gettyimages

 1月23日、マイクロソフトがパソコン業界第3位のデル(Dell Inc.)買収に「10億から30億ドル程度の資金提供をする」とのニュースが駆け巡った。90年代、ネット販売でパソコン業界に新旋風を巻き起こし、一世を風靡した米国デル社。その再建を掛けたMBO(マネージメント・バイ・アウト)にマイクロソフトが顔をそろえるにもかかわらず、米国メディアは「パソコン時代の終わり」と騒いでいる。今回は、このニュースを分析してみよう。

●「Microsoft Joins Dell Buyout Talks as Effort Advances (マイクロソフトが参画しデル買収構想が進む)
The Wall Street Journal, January 23, 2013

将来見通しに不透明感が漂うデル

 12年第4四半期の数字を見ると、ヒューレット・パッカード(HP、Hewlett-Packard)がパソコン出荷数でトップを走り、レノボ(Lenovo)が2位となっている。HPは約1,500万台だが、レノボとの差は100万台に満たない。デルは順位こそ3位だが、トップとは500万台以上の差があり、同社がパソコン販売で息切れを起こしていることは明白だ。

 モバイル・ディバイスの普及でパソコン市場が低迷し、サーバー・ビジネスがクラウド・コンピューティングに移行する中、デルは新たな成長戦略を模索してきた。アマゾン・ウェブ・サービスに代表されるパブリック・クラウド市場に参入する一方、ウィンドウズ8版タブレットや途上国向けの携帯電話販売などにも手を染めている。

 しかし、いずれも先行企業に追いつけるほどの成功はつかめず、同社の将来には不透明感が高まっていた。そうした中、設立者であるマイケル・デル(Michael Dell)氏は、米投資ファンドのシルバー・レイク(Silver Lake Partners)と組んでMBOを計画、これに今回マイクロソフトが加わったため、大きな注目を集めることとなった。

 MBOとは、経営陣が自分の会社を買収すること。たとえば、敵対買収に対抗する手段としてMBOは使われる。敵対買収では、高い株価を提示して競争相手が公開株を買い集め、買収先の支配権を握る。それに対抗するべく、経営陣が銀行や投資ファンドの支援をうけながらより高い株価を示し、自社株を買い集め「非公開会社にして敵対買収から逃れる」といったMBOが典型的だ。

 ただ、今回の場合は敵対買収ではなく、会社再建の手段として、このMBOを使おうとしている。

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