尖閣、竹島「奪還」運動をする人々の「情熱と孤独」 ~中国・韓国「ネット愛国者」を訪ねて~ 【前編】安田浩一(ジャーナリスト)

2013年01月29日(火) g2
upperline

「極右大国」日本が許せない

 活貧団の活動は当初、公務員の腐敗糾弾や北朝鮮に対する抗議が中心だった。ネットで活動を呼びかけ、集まった者たちで行政や企業に押しかけるといった手口は、日本の在特会などと同じである。賄賂をもらったとされる政治家の事務所に押しかけ、ドジョウを投げつけるといったパフォーマンス(*6)はニュースでも放映され、活貧団の知名度を高めた。

 彼らが反日色を強めていったのは2000年以降、前述の歴史教科書問題がきっかけである(洪に言わせれば「愛国の思いが高まった」)。

 「実は、もともと日本に対してそれほど悪い印象はありませんでした。でも、今世紀に入ってからの日本はひどすぎる。植民地支配を正当化する政治家が相次ぐばかりか、極右勢力が中心となり、韓国に対する蔑視がますます強くなっている。最近では我が国が支配している独島にまで手を伸ばそうとしている。当然、韓国に住む者として黙っているわけにはいかない」

 日本について話し出すと止まらない。センテンスを区切って話してくれと注文する通訳も無視しながら、ついには立ち上がってカフェの店内で横断幕を広げる始末である。

 〈対馬返還! 従軍慰安婦賠償! 覇権的侵略軍国主義糾弾!〉

 毅然とした顔つきで横断幕を掲げる洪の姿に、ウエイトレスが迷惑そうな表情を浮かべる。

 「先生、ちなみに対馬も韓国のものなんですか?」。私が呆れたように訊ねると、洪はわが意を得たりとばかりに「そのとおり!」と声を張り上げた。

 「もともと韓国領だった島だ。しかし島の住人が税金を納めなかったので、いつのまにか日本に盗られてしまったんだ。まあ、しかたないことだが悔しいじゃないか」

 まことに怪しげな持論を展開しながら、さらに洪は力説する。

 「とにかく、いまだ韓国を植民地のごとく扱う日本政府や政治家が私は許せないんです!」

*6) 洪貞植が得意とする抗議行動のスタイル。ドジョウの「スルリと逃げぬける」といったイメージから、「卑怯な敵」に対して用いるのだという。主に金権政治家に対して使われてきた。
次ページ  アメリカンポップスがBGMと…
前へ 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 次へ

このエントリーをはてなブックマークに追加 RSS
関連記事


underline
アクセスランキング
1時間
24時間
トレンドウォッチ
編集部お薦め記事