尖閣、竹島「奪還」運動をする人々の「情熱と孤独」
~中国・韓国「ネット愛国者」を訪ねて~ 【前編】

安田浩一(ジャーナリスト)
G2

 2004年にはキヤノンと業務提携する韓国の財閥LGグループの不買運動を展開した。キヤノンが主催した展示会会場に掲げられた日本地図に「竹島表記」があったからだという。

 また、この年には再び日本を訪れ、皇居前で「反日街宣」をおこなった。敷地内に入ろうとしたが警察官に制止されたため、「皇居の見える場所で立ち小便をしてから帰国した」という。

義賊に憧がれて

 洪は2012年10月にも来日している。竹島問題で日本政府に抗議するためだ。ちなみに、このときは事前にネットで「日本に乗り込む」と宣言したため、日本側でも対決姿勢を強めた団体があった。あの「在特会(*3)(在日特権を許さない市民の会)である。

 かねてより活貧団を「反日テロ組織」だと攻撃してきた在特会は「韓国反日組織・活貧団によるテロを許すな」との声明を発表、活貧団が乗り込むとされていた日には、皇居前で緊急街宣をおこなった。「過激な排外主義者同士が衝突するのでは」とネット上では期待と興味を持って成り行きが注視されたが、結局、活貧団は皇居に姿を現さなかった。

 「警備が厳しいので、皇居の代わりに富士山に行ったよ。五合目までバスで登り、土の中に日の丸を埋めてきた」

 洪はさらっと言ってのける。これは日本に反省を促す儀式なのだという。

 ほかにもコトあれば日本大使館などに駆けつけ、教科書問題、領土問題、歴史認識の問題など、日本と対立する様々なテーマで街宣活動をおこなうのが活貧団なのである。

 洪さんも忙しいですね。皮肉交じりに声をかけると、洪は私のメモ帳とボールペンを奪い、「声東撃西」となかなかの達筆で記した。

 「東で声を荒らげ、西で攻撃を仕掛ける。それが私の仕事です」

 彼は生真面目に答えた。

*3) いわゆる「ネット右翼」を中心に組織された保守系市民団体。在日コリアンの「特権をはく奪する」として排外主義的な運動を展開する一方、中国、韓国、北朝鮮を「日本の敵」と位置付け、この3国に対する抗議行動も活発におこなっている。