ソーシャルメディア時代に求められる新しいコミュニティ運営のルールとツール

市川 裕康
世界中で1300万人が参加するイベント・コミュニティのポータルサイト「ミートアップ・ドット・コム

前回ご紹介した「コミュニティマネージャー感謝の日」に関し、たくさんの方からフィードバックを頂き、改めて認識を深めたことがあります。

 それは、前回お伝えしたような意味での、主に企業でのソーシャルメディアの運用を担う「コミュニティマネージャー」という職業は、ここ数年のソーシャルメディアの利用が急拡大する中で注目を集めているトレンドであるということです。

 オラクル社(前Vitrue社)が主催している「コミュニティマネージャーオブ・ザ・イヤー・アワード」のファイナリスト3人のうちの1人の紹介動画を見ると、そんな様子がよく伝わってきます。朝一番でツイッター上での会社の評判をチェックし、フェイスブックなどの投稿やコメントを通じて常に企業ブランドのファンを拡大・活性化しようとする姿が映し出されています。

 そして今回、あえて注目したいのは、以前から存在する家族、同窓会、サークル、NPO、プロフェッショナル・グループ、ユーザーグループ、患者会、選挙キャンペーン、デモに集まる人々など、何らかの興味や所属や目的があって生まれるあらゆるグループを運営する人としてのコミュニティマネージャーです。

 例えば、以前にも紹介したことがある、共通の趣味や興味に関するイベントを開催するためのプラットフォームサービス「ミートアップ・ドット・コム」を見てみましょう。

USATodayの記事によると、最近は前年の倍のペースで利用者が増えており、人気のある母親同士の会(マム・ミートアップ)、ハイキング、アウトドアなど、ひと月で1万以上の新しいグループが生まれているとのことです。現在、世界中の約1300万人(米国内は約1100万人)の間で、毎月30万以上のイベントを開催され、250万以上の予約(RSVP)が処理されていることになります。

 これらのコミュニティは、古くから社会に欠かせない構成要素として存在しているものの、今日では、コミュニティ運営のツールとしてのソーシャルメディアを無視せざるを得なくなってきているところに特徴があります。

 そして問題は、こうした旧来から存在するグループを、ソーシャルメディアの活用で効果的に運営しようとする際、効果的なルールやツールに関しての共通認識が十分社会に浸透していない点にあると、私は考えます。

 例えば、フェイスブックのコミュニティ運営を可能にする「グループ」や「イベント」という機能を考えてみましょう。フェイスブックを利用している人であれば、「グループ」機能を利用して自分でコミュニティを運営している人や、あるいはグループに参加している人も多いのではないでしょうか? 

 あくまで経験値ではありますが、メーリングリストを使ってグループ間の情報共有をしている場面が以前より減少し、今日、その代わりにフェイスブック「グループ」を利用している人が増えているように思います。グループの作成、写真やリンクの共有なども簡単にできて、しかもリアルタイムで投稿したメッセージに「いいね!」やコメントをつけられるなど、とても便利なツールだと思います。

 ただ一方で、簡単にグループを作成したものの、明確なコミュニティのデザイン・設計がされないまますぐに廃れてしまうケースが数多くあるようにも感じます。あるいは、自分の意思と関係なく勝手にグループに登録され、興味のない投稿通知が多く届くようになり、迷惑している、という人はいないでしょうか?

 その他、「イベント」という機能を使った場合にも、同じように悩ましいことがあります。この機能を使うことで、誰がイベントに参加するか事前に可視化され、参加するきっかけになるというメリットがある反面、簡単に招待することが可能なため、自分が主催するイベントに対し、何百人、何千人という人に招待を送るという使用例がときどき見られます。

 「主催者にとって『意義のあるイベント』を多くの方に知って欲しい」という気持ちは分かるものの、興味のないイベントの案内が何度も送られ、また、その「イベント」ページで投稿されるメッセージも、意図に反し、何回も届いてしまうという事態が頻繁に起こっています。

 こうした「残念」な事態は、1人ひとりがフェイスブックの設定を変更すれば解決することも多いのですが、ただでさえ仕様変更が頻繁に起こるフェイスブックの細かい設定変更を誰もが「するべき」と考えるのは、実際問題として無理があります。

ソーシャルメディア時代に求められる新しい「オンラインコミュニティ運営・管理マニュアル」

 往復はがきからメーリングリスト、そしてフェイスブックへ・・・全ての人がフェイスブックを利用している訳では当然ないものの、そして、依然としてそれぞれのコミュニケーションツールの重要性はあるものの、コミュニティを運営する情報伝達・交換手段がめまぐるしく変化と進化を繰り返していることは事実です。

 こうした時代に、私たちは社会的にある程度合意されたオンラインコミュニケーションのルール、エチケット、そして効果的なツールの活用法に関しての「新しい」マニュアルが必要なのではないかと考えます。「ソーシャルメディアの運営」という役割以上の、オンラインコミュニティのモデレーション、ファシリテーションのためのノウハウ・テクニックと言えるかもしれません。

 コミュニティ運営に関しての心得などに関しては、書籍、インターネット上で丁寧に検索することで見つかる情報も多く存在します。例えば、書評サイトとしてよく知られている松岡正剛氏の「千夜千冊」で先日紹介されていた『ソーシャルメディア進化論』(武田隆著)の記事などは、以下のようなとても参考になる洞察が含まれていました。

 〈 そもそもコミュニティがうまくはこぶには、欠かせないものが二つある。「役割の設定」と「報酬の設定」だ。ブラクティスとインセンティブである。しばしば報酬(インセンティブ)ばかりが重視されるけれど、実はコミュニティにおいては参加者に役割(プラクティス)を与え、それにやりがいを感じてもらうことがもっと効果的なのである。 〉

 松岡正剛の千夜千冊 交貨篇 1496夜 / 武田隆『ソーシャルメディア進化論』(2013年1月12日)より

 ただし、こうしたコミュニティデザインの大局的な視点を持ち、併せて機能的な解説・活用法がまとめられているサイト・情報源は、まだ十分に存在していません。また、多様なコミュニティを運営している人同士の情報交換・交流の場も、今日では必要になりつつあるのではないかと強く思います。

 来週1月28日に迫った「コミュニティマネージャー感謝の日」に併せ、今回、有志の仲間と共にアンケートを実施することにしました。現在、何らかのコミュニティをオンラインのサービスを活用しながら運営している方は、ぜひご協力頂ければ幸いです。以下のリンクからお答え下さい(1月27日 24:00締切)。

「コミュニティマネージャー感謝の日」記念特別アンケート

 アンケートの結果は、1月28日に開催される「コミュニティマネージャー感謝の日東京ミートアップ」(場所:Hub Tokyo)において発表させて頂きます。

 併せて、上記の問題意識に基づき、コミュニティマネージャーの方、またコミュニティマネジメントに興味を持っている方同士の情報交換・交流を可能にするフェイスブックグループを立ち上げることにしました。今後も継続的にこのテーマに興味をお持ちの方は、ぜひご参加ください。

「コミュニティマネージャーFBグループ」

 あくまで試行錯誤の途中ではありますが、2013年の主要なテーマのひとつとして、オンラインコミュニティの運用・活用に関し、今後も探求していきたいと思います。頂いたアンケート結果を含め、ブログや本コラムでも関連情報を折に触れて共有させて頂きます。お付き合い頂ければ幸いです。

本記事に関するご意見、ご質問、フィードバック等は筆者のFacebookページまでお願いいたします。ツイッターは@socialcompanyです。

【お知らせ】
このたび、2010年から寄稿していた「ソーシャルビジネス最前線」の内容に大幅に加筆修正を施して、先日、以下の書籍を出版させて頂きました。ぜひ書店などで手に取って頂けたら幸いです。

著者: 市川 裕康
『SocialGood小事典
個人で世界を動かすソーシャルメディア活用術』
(講談社刊、税込み1,680円)
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