もはや維新も自民も決して保守ではない
「救世主願望」と「決断主義」がもたらすもの

中島岳志(北海道大学大学院准教授)
自民圧勝、民主惨敗に終わった2012年12月の衆院選。「圧勝」はなぜ繰り返されるのか? 不気味な維新は次にどう動く? ウルトラ保守+新自由主義の時代は本当に来るのか? 選挙から1ヵ月たった今だからこそ、冷静になって分析したい、日本の「現在と未来」。

五分五分の結果だった維新

 昨年末の総選挙は、自民党の圧勝、再びの政権交代で自公政権の成立という結果に終わりました。それ自体はほぼ予測していたとおりでしたが、民主党がここまで壊滅的に負けるとは、少々予想外でしたね。

 そして、もう一つ予想外だったのが、日本維新の会が54と、思った以上に議席を伸ばしたことです。大阪の小選挙区で意外に勝ったし、比例区でも全国的に票を集めました。

 この結果は、維新にとっては―というか橋下さんにとっては、半分は「しまった」、半分は「よし」という感じではないでしょうか。

 多分橋下さんは、何議席取ろうというよりも、「自公合わせても全議席の3分の2には足らず、一方自民+維新で3分の2を確保する」状況を狙っていたはずです。それが、参議院でほとんど議席を持たない維新がキャスティングボートを握れる唯一の手段だからです。ところが、思ったより自民の議席が伸びて、自公だけで3分の2以上を取ってしまった。これが橋下さんの「しまった」の部分です。

 その一方で、維新が51議席を超えたことで、単独で内閣不信任案を出せるなど、衆議院の中で一定の切り札を持つことはできた。しかも自民+維新でも3分の2を超えますから、場合によっては自民党と手を組み、公明党を蚊帳の外に置いて法案を通すこともできるようになったわけです。その意味で、維新の会にとっては五分五分くらいの結果だったと言えるのではないでしょうか。

 ちなみに、僕は自らの政治的立場を「リベラル保守」と位置づけていますが、こうした今回の結果にはとても強い危機感を抱いています。選挙前、維新の会や自民党の動きが一部で「保守化傾向を強める」といった言われ方をしていましたが、維新の会も自民党も決して「保守」ではないと考えるからです。

 本来の保守とは、単なる復古主義ではありません。「人間は不完全なものだ」ということを自覚して、人間の理性よりも、長い時間をかけて積み重ねられてきた英知や経験知のほうに依拠しようとする。だから改革は常に急進的ではなく漸進的なものでなくてはならない―とする立場です。

 しかし、維新の会も自民も、構造改革を主張するなど、言うことは「改革」「変革」ばかり。そのどこの部分をとっても保守思想だとは言えないし、むしろそのまったく逆だというのが僕の考えです。

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