「官僚統制型」の「業者行政」から「競争政策」へ! 日本再生のカギは「公正かつ自由な競争」の実現にある! 

 1月10日、自民党政務調査会の各種調査会の会長人事が決定された。注目すべきは、これまで長年、党内の公正取引委員会の所掌政策に関して議論してきた「独占禁止法調査会」が、この度「競争政策調査会」に名称を変えた事である。その意味は、日本経済再生にとって、大きい。

 実はこの改称には私の長年の拘りがある。1980年代初頭に留学先のハーバード行政学大学院での恩師で、公取委に匹敵するFTC(連邦通商委員会)経験者、そして後にクリントン政権で労働長官となるロバート・ライシュ教授から「競争政策」という言葉を頻繁に聞き、「独禁政策」という言葉に馴染んでいた私は新鮮な衝撃を受け、以来拘り続けてきた。

 とりわけ今から10年近く前、私が「独占禁止法調査会」の事務局長をしていた時にさらにその思いを深め、名称変更、すなわち哲学の転換が必要だとの問題意識が日増しに強くなっていた。新政権のスタートを機に、この度名称変更を提案したところ、高市早苗政調会長には直ちにその意味と重要性をご理解頂き、即決された。

市場メカニズムの効用を最大化し、市場の失敗を是正する政策

 「独禁政策」と「競争政策」は異なる。誤解を恐れず簡潔化すれば、すなわち、「独禁政策」が、市場支配的な企業による濫用行為を規制するため、予め大企業の合併を規制する政策であるのに対し、「競争政策」は、規律と監視の下で市場メカニズムの効用を最大化し、競争による市場全体の成長と便益をもたらすことを目的とする政策である。逆を言えば、その目的さえ担保されていれば、必ずしも合併規制を至上目的としない。

 これまでの日本では、「競争」の哲学が真に根付いていたとは言い難い。むしろ、業界ごとの利益を監督官庁が集約し、調整したうえで全体の経済政策の計画を官主導で立案するという、「官僚統制型」、「社会主義型」の体制が取られてきた。そうした業界の声を汲んだ政・官が行なう「業者行政」が、「産業政策」と呼び変えられ、もっともらしく経済政策として扱われることが多かった。

 「競争政策」とは本来、規律と監視の下で市場メカニズムの効用を最大化し、市場の失敗を是正する政策でなければならない。市場ではさまざまな問題が発生するが、それを法的な視点から捉えて調整し、しっかり是正する必要がある。

 すなわち、監督官庁が最初から恣意的に、かつ積極的に指導するのではなく、ルールの下で市場の自由に任せたうえで、そのルールを逸脱する問題のある行為に対しては法を適用するべきなのだ。したがって、官の役割は、専ら市場を監視・監督するという事後規制にとどまるべきである。

 本コラムでも紹介したことがある、「公正競争条件確保法案」の検討過程でも、改めてこの問題を再認識させられた。

 この法案は、日本航空の救済・再生の過程で、私企業に対する過剰な公的支援が航空市場の競争条件を歪めた問題に鑑み、日本における公的支援に関する競争政策ガイドラインを公正取引委員会が作り、業者行政官庁を監視することを主旨としている。「EUガイドライン」としてこうしたルールが既に確立している欧州連合(EU)の競争政策を参考にして策定したものだ。

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