世界一わかりやすいスティグリッツの経済学
第3回 「人は合理的に選択する」

第2回はこちらをご覧ください。

 今回は、人々がどのように考え、何を基準にして行動するのか、
どのように自分の行動を「選択」していくのかについて解説します。

 今回のkeywordは「便益」「費用」「合理的選択の仮定」「利己的な個人」「利潤最大化を求める企業」「効用」「選好」です。

合理的選択とは?

前々回、「資源は有限なので、選ばなければいけない」という説明をしました。お小遣いにも限りがあるので、自分がほしいものを全部買うことはできない、だからどれを買うか選ばなければいけない、ということです。何を選ぶかというと、自分の好きなものを選ぶことになります。ただし、ここで経済学には重要な仮定があります。

---重要な仮定?

 それは、

 「どんな場合でも、全ての『マイナス面』と『プラス面』をしっかり比較して選んでいる」

 という仮定です。

 つまり、「これを選んだ場合、こういうプラスがあるなぁ。でもこういうところはマイナスだな」とちゃんと理解した上で、その選択肢を選んでいるのです。

 また、

・「自分は何が好きで、何をしたいのか」をはっきりと分かっている

 さらに、

・自分の目的を達成させるためには、何をどうすればいいか全て知っている

 とも仮定しています。

 自分が何をしたいかが分かっていて、それをするためには何をすればいいかも分かっているので、世の中にある色々な選択肢のプラス面とマイナス面も把握できるんです。

---どういうことか?

 例えばこういうことです。

 みなさんが、東京から大阪まで旅行に行くとします。東京から大阪に行く手段は、車、電車、飛行機などがあり、それぞれ必要な時間と費用が異なります。でも、みなさんは全ての経路(選択肢)について、時刻表と所要時間、チケット代や快適さなどを知っていて、その上で旅の目的に合わせて移動手段を考えることができます。

 「いやいや、全ての手段を熟知している人なんていないよ」、そういうツッコミが聞こえてきそうですが、経済学では「全てを熟知している」と仮定するんです。

 また、みなさんは今回の旅の目的もはっきりと分かっていると仮定しています。のんびり風景を楽しみたいのか、とりあえず早く目的地に行きたいのか、できるだけ安く仕上げたいのか、など、いろいろな目的と楽しみ方があります。

 このなかで自分がどんな旅をしたいと思っているかは明確に分かっていることにするんです。「よく分んねぇし、オレはついていくだけだからいいよ」という人は、経済学では存在しないことになっています。

 要は、何を選ぶ時でも、各選択肢にはプラス面とマイナス面があり、みなさんは自分の目的に照らし合わせて、一番ぴったり合うものを選ぶということです。

 経済学では、選択肢の「プラス面」は「便益」、「マイナス面」は「費用」という言葉に置き換えて考えます。「便益」は使いなれない言葉ですが、「便利」+「利益」で「便益」です。メリットと置き換えて理解しても問題ありません。

 経済学では、人間はこの「便益」と「費用」を常に比較して、自分の目的に沿った選択肢を選ぶ、と仮定しているのです。このように選ぶことを「合理的に選択する」といいます。

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