経済の死角

みんなで考えようこの国の未来 なぜ彼らは日本を「捨てた」のか海外に移住した日本の若者たち

2013年01月23日(水) 週刊現代
週刊現代
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「あたし、ちょっと海外に行ってくる」

「いいねぇ。で、いつ帰ってくるの?」

「分かんない。とりあえず、3年かな」

 海外に生活の拠点を移す日本の若者が急増している。なぜいま日本脱出なのか。

この国に希望はあるのか

『ご報告 このたび、私は日本を離れ、オーストラリアに移り住むことにしました。ついては、携帯を解約しますので、以後のご連絡先は・・・・・・』

 これは30歳の本誌記者の携帯電話に、高校時代の同級生から突然、送られてきたメールだ。

 日本が、少子高齢化の時代に入ったと言われて久しい。若者の人口は減少の一途を辿り、経済を支える労働力も減っている。働いて稼ぐ人間が減れば、ものを買って消費する人間も減る。構造的な不況のなかで、景気が根本的に回復していく見込みは立っていない。

 ところがいま、日本の若者たちは次々と海外に生活の場を移し、現地の外国企業に就職しているという。

 外務省の海外在留邦人数調査統計(平成24年速報版・平成23年10月1日現在)によると、海外に生活の本拠を移した日本人(永住者)数は前年調査から約1万5000人増の39万9907人。

 また、3ヵ月以上海外に長期滞在する日本人の総数は78万2650人で、1年間で2万3862人増加している。平成23年の調査では前年からわずか540人増だったのと比較すれば、海外に出る日本人が急増していることが分かるだろう。

 何を隠そう、本誌記者の中学・高校の同窓生だけでも、すでに5人が、この2年間に日本を離れ、生活の拠点を海外に移している。

 そのひとり、冒頭のメールの送り主である30歳独身女性は、福島第一原発事故後の'11年4月、単身オーストラリアに移住した。

 そろばんの有段者で、十数桁の掛け算も暗算でこなす天才肌の彼女は、名門私立大学の法学部を卒業後、社会人生活を経て、ロースクール(法科大学院)に進学。'10年に卒業したばかりだった。

 法曹界入りを目前にしたエリートが、なぜすべてを捨てて移住を選んだのか。メールで理由を問うた。

『法律を勉強してきたのは国民の生命や財産を守る仕事につきたいと思ったから。でも原発事故への対応を見ていると、そもそもこの国は、それらを大切にしていない。全部、虚しくなった』

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