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特別レポート 金正恩 すっかりやる気を失ってネット三昧の日々

父・金正日の急逝を受け、最高指導者の座に就いて丸1年。若き「改革派」指導者も30歳となり、ますます意気軒昂---と思いきや、最近何やら元気が無い様子。金王朝に漂う不穏な空気をお伝えする

グーグル会長を招きたい

「金正恩が、朝鮮に中国式の改革開放をもたらすなどと豪語していたのは、今は昔だ。この1年で完全に、朝鮮人民軍の傀儡に成り下がってしまった。金正恩はもはや、金格植・人民武力部長(国防大臣)ら軍強硬派の言いなりになって動くだけのロボットのようなものだ。

 このため、軍の強硬派が2月に強行しようとしている3度目の核実験を、阻止する能力もないかもしれない。わが国は、北朝鮮がもし3度目の核実験を強行したら、今後は金正恩体制は支持しないと、明確なメッセージを、すでに平壌に送っている」

 こう厳しい口調で語るのは、北朝鮮を担当する中国の外交関係者だ。

 金正恩第一書記は、1月8日に満30歳を迎えた。父親の故・金正日総書記から内々に後継指名を受けたのは、'09年のこの日だったので、後継者として丸4年が過ぎたことになる。

 だがその割に、祖父・金日成主席の誕生日である4月15日の「太陽節」、父・金正日総書記の誕生日である2月16日の「光明星節」のような表立った慶祝の式典は、平壌では一切なかった。ただ、全国の子供たちに菓子を配ったというニュースが流れただけである。

 この北朝鮮最高指導者の地味な誕生日について、一部の海外メディアは、一国のトップに立ってまだ1年しか経っていないので、本人が謙遜して大イベントを行わなかったという分析を伝えた。だが本当に、そんな単純な事情だったのか。

 中国の外交関係者が続ける。

「儒教の伝統を忠実に遵守している北朝鮮にとって、『三十而立』(30歳にして立つ)と孔子が教えた30歳の誕生日は、本来なら非常に大事な記念日だ。

 ところが1月8日の平壌は、祝日にさえならなかった。これは第一に、わが国が中止を警告したにもかかわらず、先月に長距離ミサイル実験を強行したため、わが国から〝祝賀金〟を出さなかったことが影響している。もはや自力では大イベントが挙行できないほど、経済が逼迫しているのだ。

 第二に、金正恩の過度の権威拡張を嫌う軍の強硬派が、ミサイルや核実験以外のイベントにゴーサインを出さないからだ。いまの金正恩が百パーセント軍に依存しているのは、父親の時代と同様だ。だが、金正日が軍を完全にコントロールしていたのに対し、金正恩は逆に軍にコントロールされている」

 金正恩は軍に頭を押さえつけられ、さぞかし寂しい誕生日となったに違いないが、30歳の記念日に、一体何をしていたのか。

「韓国のCIA」こと国家情報院関係者が解説する。

「われわれが得た情報によれば、この時期に合わせて訪朝していたグーグルのエリック・シュミット会長を歓待する宴会を開いた。金正恩は、いまからちょうど1年前に、米AP通信の社長一行を平壌に招待して、朝鮮中央通信と提携させたが、〝社風〟の違いからうまくいかなかった。

 そこで今度は、グーグルとの提携を目論み、アメリカ政界唯一の親北朝鮮派の大物政治家であるリチャードソン前ニューメキシコ州知事を仲介に立てて、シュミット会長を平壌に招聘したのだ。シュミット会長は、横田めぐみさんの娘もOGである金日成総合大学コンピュータ学科や、朝鮮中央通信などを視察した後、北朝鮮との提携を決めたようだ」

 シュミット会長は、金日成総合大学の図書館に設置してあるパソコンを使って、自分が住んでいるニューヨーク市や、同市のコーネル大学のサイトにアクセスし、学生たちと交流を図ったという。

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