現代新書
『学び続ける力』刊行記念ロングインタビュー
池上彰「学ぶことは生きること」

池上彰さんの解説はなぜわかりやすいのか

 池上彰さんの解説は、なぜあんなにわかりやすいのだろうか? それは、「伝える」ことだけでなく、「知る」「学ぶ」ということについても、解説のプロフェッショナルとして考え抜いてきたからではないだろうか? 「池上彰ができるまで。そしていまの池上彰について」率直に語った講談社現代新書『学び続ける力』(1月18日発売)刊行記念ロングインタビュー。

独学の人

――『学び続ける力』は、これまでの池上さんの本と、少し雰囲気が違いますね。そもそも、この本を書かれたきっかけはどういうことだったのでしょうか?

池上 そうですね。こう言うと口はばったいですが「いまの教養ってなんだろう?」ということは、NHKの記者時代から、ずっと考えてきたことなんです。英語や経済をひとりでコツコツ勉強したり、「週刊こどもニュース」でいろいろなニュースを扱ったり、独立後、ニュース解説をしたりしながら、常に頭のすみにあったんですね。

 昨年4月からは、東京工業大学で、学部生に現代史などの一般教養を教えるようになり、ますますそんなことを考えるようになりました。そこに編集者から「講義を通して考えたことを書いていただけませんか」と依頼されたのが、直接のきっかけです。

 でも、書いているうちに、教養論というよりも、結局は「学ぶことの楽しさ」や「現代に学ぶことの意味」についての、自分の経験を通しての等身大の話になりました。

池上 彰(いけがみ あきら) 1950年生まれ。ジャーナリスト。2012年より、東京工業大学リベラルアーツセンター教授として、学部生に現代史を中心に教鞭をとっている。講談社現代新書の既刊『相手に「伝わる」話し方』『わかりやすく〈伝える〉技術』『〈わかりやすさ〉の勉強法』はいずれもロングセラー。

――この本を通しての印象なのですが、池上さんは「独学の人」ですよね。

池上 考えてみると、そうかもしれないですね。性分なんでしょうね。

 38歳のとき、いきなり「首都圏ニュース」のキャスターをやれと言われて、ニュース原稿を読むことになったんですが、それまで、アナウンサーの研修など受けたこともありません。だからまず局内の書店で『アナウンス読本』を買ってきて、腹式呼吸の練習から、毎日自分でやりました(笑)。誰も教えてくれなかったということもありますが……。

 何かをするときに、人に聞いて学んでいくタイプもいれば、自分でやりたいタイプもいますよね。道に迷ったら、すぐ人に聞くタイプか、地図とにらめっこして自分で解決しようとするタイプか、とも言えるかな。私は後者かなと思います。