経済・財政
安倍内閣の真価が問われる「金融資本市場の活性化」。国民新党が先送りした国際会計基準IFRSの行方はどうなる?
〔PHOTO〕gettyimages

 民主党政権の3年3ヵ月の間、金融業界には逆風が吹き続けた。民主党は金融に関心が薄く、最後の2ヵ月を除いて大臣ポストも国民新党に丸投げした。

 連立を組んだ国民新党から金融相ポストに就いた亀井静香氏、自見庄三郎氏らは、民主党のマニフェスト(政権公約)からは大きくかけ離れた独自の政策を推し進めた。亀井氏が推進した郵政民営化の巻き戻し、中小企業などへの金融モラトリアム、そして自見氏による国際会計基準IFRSの先送りなどが典型例だ。

 民主党が圧勝して政権を奪取した2009年総選挙での、国民新党の得票率(比例)はわずか1.73%。多数の国民から信任を得たわけではない国民新党が金融を壟断できたのは、ひとえに民主党が金融に無関心だったからに他ならない。

 政権交代後の2009年12月、当時の菅直人副総理兼国家戦略相が発表した「新成長戦略」には、金融分野への言及がゼロだった。記者ブリーフィングでこの点を質問された菅氏は「リーマンショックは金融の行き過ぎによる結果でもあるし」と煮え切らない返事をした。成長させる分野として「金融」がまったく念頭になかったというのが本当のところだったのだろう。

企業経営に大きな影響を与えるIFRSの行方

 安倍晋三内閣は1月11日、「日本経済再生に向けた緊急経済対策」を発表した。柱の1つである「成長による富の創出」の中に、「金融資本市場の活性化等」を盛り込んでいる。政権交代から短期間での経済対策だけに、盛り込まれた具体的な政策は、民主党政権時代の積み残しが多い。

 「アジア No.1市場の構築」という言葉も、民主党の置き土産だが、安倍自民党は政権公約でも「国際展開戦略」として成長するアジア経済圏を取り込むなど経済のグローバル化に積極的に取り組んでいく姿勢を示している。緊急経済対策では「市場の利便性向上・国際競争力の向上等を通じた金融資本市場の活性化等に取り組む」との方針を掲げた。

 では具体的に、政策はどう変わるのだろうか。郵政改革の方向性については自民・公明・民主の三党で合意した経緯がある。今後自民党内での議論が再燃する可能性はあるものの、今すぐに安倍内閣として方向転換することはあり得ないだろう。

 モラトリアム、つまり中小企業等金融円滑化法のツケについては、激変緩和措置などが検討されている。これについては別稿に譲ることにしたい。もう1つ、個別の企業経営に大きな影響を与えるのがIFRSの行方だろう。会計基準の変更によって企業の戦略に影響を与える可能性があるからだ。

 自民党政権時代の2009年、金融庁の企業会計審議会は中間報告をまとめ、IFRSを全上場企業に義務付けるかどうか2012年中に判断するとしていた。ところが自見金融相が2011年5月に突然、「政治判断」だとしてこのメドを延期する方針を発表していた。

 企業会計審議会の臨時委員にIFRS反対派と目される人物10人を追加で任命するなど、強引な手法で議論の流れを変えようと画策した(当時の記事参照)。金融庁の事務方は激しく抵抗したが、民主党の掲げる「政治主導」には逆らえず、海外の視察などを繰り返してきた。結局、2012年中にIFRSの扱いを決めることは見送った。

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