佐藤優さんに質問---ミャンマーに対し日本政府、民間を合わせ交流していくという選択肢は正しい

佐藤優直伝「インテリジェンスの教室」Vol.005より 
【佐藤優直伝「インテリジェンスの教室」Vol.005 目次】
―第1部― インテリジェンス・レポート
 ■分析メモ(No.10)「兼原信克・内閣官房副長官補人事の重要性」
 ■分析メモ(No.11)「金正恩の元旦演説」
―第2部― 読書ノート
 ■『隣人。38度線の北』
 ■『モサド・ファイル イスラエル最強スパイ列伝』
―第3部― 質疑応答
―第4部― 文化放送「くにまるジャパン」発言録
―第5部― 佐藤優さんの今後の予定

読書ノート(No.8)

◆初沢亜利『隣人。38度線の北』徳間書店 2012年

 北朝鮮について知るための優れた写真集だ。北朝鮮の普通の人々の生活を伝えようと懸命の努力をした初沢氏の誠実さが写真そして巻末の文章から伝わってくる。当然、この種の写真集を出せば、「北朝鮮のプロパガンダ(宣伝工作)に利用されている」という批判がなされるが、そのような表面的批判を突破する力がこの作品にはある。初沢氏は、

この写真集こそが北朝鮮の真実である、というつもりは毛頭ない。真実とはそれ自体多面的なものであり、どこに眼差しを向けようとも、それらは無数の真実の一部でしか有り得ない。/『隣人』には明確な意図も介在している。「違和感ではなく共感を拾い集めること」。マスメディアの情報に偏りがあるのと同様に、この写真集にも一定の偏りがある。そのような前提で見ていただいたよう方がむしろ安全であろう>(167ページ)

 と述べる。・・・・・・(略)

読書ノート(No.9)

◆マイケル・バー=ゾウハー/ニシム・ミシャル(上野元美訳)
 『
モサド・ファイル イスラエル最強スパイ列伝』早川書房 2012年

 モサド(イスラエル諜報特務庁)に関するノンフィクションは、たくさんあるが、本書は、最新のインテリジェンスの動向を伝えている。具体的には、序文「ライオンの巣穴に一人で飛び込む」、第1章「テヘランの葬儀」、第18章「北朝鮮より愛を込めて」、第19章「午後の愛と死」、第20章「カメラは回っていた」、終章「イランと戦争か?」が、過去10年のモサドのインテリジェンス活動について、詳しい情報を提供している。

 日本にとって特に興味深いのは、北朝鮮によるシリアに対す核開発支援が発覚したきっかけだ。

<二〇〇七年七月のある日のロンドンは、気持ちのよい夕べを迎えていた。ケンジントン地区にあるホテルの部屋から、一人の宿泊客が出てきた。その男は、エレベーターでロビーへおり、入口で待つ車に乗りこんだ。その日の午後、ダマスカスから到着したばかりの、シリア政府高官だった。そして彼は会合に向かった。・・・・・・(略)

―第3部― 質疑応答

読者からの質問には、物理的に可能な限り、極力お答えして、双方向性を担保したいと思います。質問者名を実名にするか、匿名、ハンドルネーム、イニシアルするかについて指示してください。指示がない場合には、匿名にします。 ※質問末尾のカッコ内が質問者名。今回は1月6日到着分までの質問にお答えしています。それ以降に届いた質問については、次号で回答する予定です。

質問:日本のミャンマーへの関わり方について

 日本のミャンマーへの関わり方について質問します。

 アジアにおける日本の立ち位置、日中関係、日韓関係に照らしても日本がミャンマーに対して政府、民間を合わせて「非常に」多額の援助と進出、指導と交流をしていくという選択肢はありませんか。

 メリットは、インド洋に伸びようとする中国商権への牽制、製造業としての中国へのリスクヘッジ、豊富な地下資源の安定確保、食糧資源の確保、インド、中国という30億市場を睨んだ生産、販売戦略、仏教的価値観の近似性など。

 日本をどう持ち上げるかというテーマに関連し、行き詰まった企業が自社で不足する技術や市場を持つ別の企業と提携し業績を伸ばすのと同様に成熟し、爛熟気味の国家がある途上国と非常に緊密で特殊な関係を築き、互いを補完することで息を吹き返すという選択肢は考えられませんか。(略)

【佐藤優さんの回答】ご主張は、戦略的に正しいと思います。そもそもミャンマーは、第二次世界大戦中の「援蒋ルート」(重慶の蒋介石政権に米国、英国が兵器や物資を供給するルート)にあたります。この地政学的重要性は、現在も変化していません。・・・・・(略)

―第4部― 文化放送「くにまるジャパン」 

 本コーナーは、佐藤優さんが毎月第1金曜日と第3金曜日に出演している文化放送「くにまるジャパン」での発言を紹介します。今回は1月4日放送分をお届けします。なお、ラジオでの発言を文字にするにあたり、読みやすいように修正を加えている部分もあります。 ※野村邦丸(のむら・くにまる)氏は番組パーソナリティ、伊藤佳子氏は金曜日担当のパートナーです。

野村邦丸(以下邦丸): 2013年、平成25年1月4日、くにまるジャパンです。おはようございます。

佐藤優(以下佐藤): 佐藤優です。あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。

邦丸: 今朝は電車ががら空きでした。

伊藤佳子(以下伊藤): でも、仕事始めの方が多かったですよ。いつもの時間、いつもの電車に乗っている人がいっぱいいたから、「あけましておめでとうございます。今年もよろしく」って一人ひとりに心の中で挨拶しました。

邦丸: 今日からお仕事の方、そして三が日もお仕事だった方、お疲れ様です。今日、リスナーの皆様から募集するメール・FAXのテーマは。

伊藤: 「正月休み、いかがっすか?」

邦丸: 私は12月29日から久しぶりの6連休で、何もせずにのんびりさせていただきました。

佐藤: 東京拘置所が面会がないのと一緒ですね。

邦丸: はあ、そうなんですか。年末年始は面会できないんですか。

佐藤: だからその直前は、「先生―この場合、先生とは弁護士のことですが─、出してくださいよ」って大変な騒ぎですよ。私が東京拘置所にいたときには、年末になると今まで否認していた人も急に罪を認めちゃう。

邦丸: 正月はやっぱり家で過ごしたいんだ。・・・・・・