雑誌
特別対談 佐藤優×田崎史郎
そして日本社会はどこへ向かうのか

ふたつの地雷が埋まってる

田崎 私は安倍政権というのは長期政権になり得ると見ているんです。というのも、先の総選挙で自民・公明両党で衆議院の3分の2を超える325議席を獲ってしまった。ねじれ状態にある参議院で法案が否決されても、衆議院で再可決すれば通せるわけです。これは重みのある数字です。

 また、民主党の3年3ヵ月に及ぶ政権を目の当たりにして、民意は政治に安定を求めていると思います。安倍さん本人も、前回の政権の失敗などをノートに書き留めて、それを何度も読み返していたと語っていますから、過去の経験もプラスになるでしょう。

佐藤 基本的には私も同じ認識です。ただし、二つの制約条件がある。一つは安倍氏や側近に誰も知らないような深刻なスキャンダルが出ること。もう一つは沖縄の米軍基地問題で、安倍政権がこのハンドリングを間違えると、内乱状態すら起きかねません。特に辺野古への基地移転を強行すれば、沖縄で極めて緊迫した事態が生じ、日米関係にも大きな支障が出る。

 また、沖縄の基地問題というのは慰安婦問題とも関連しています。つまり、辺野古移転が強行されると、沖縄は国連総会第3委員会(人権)にこの話を持ち込む可能性がある。そうなると韓国、北朝鮮、中国が戦時中の日本の慰安婦問題もセットにして、日本政府は人権意識に欠けるというキャンペーンを展開する。外交上、これまで想定したことがない面倒な事態になる危険性があるんです。

田崎 安倍政権の特徴の一つは、日米関係の再構築を目指し、アメリカとうまくやっていこうという志向が強いことでしょう。

佐藤 それは間違いないですね。

田崎 前政権で、できることなのにやらなかった課題がいくつかあります。たとえば、ハーグ条約への加盟問題やTPP交渉への参加がそうです。こういうことを一つ一つ前に進めていけば、今の日本にとって日米関係の再構築はさほど難しくない。ご指摘の沖縄問題はまだ顕在化していないテーマですが、私は安倍さんは現実対応能力が高い政治家だと思って見ているんです。靖国参拝問題でも、不必要に突っ込んだ発言はしないようにしていますし、安倍さんならなんとかこなしていけるのではないか。

この続きは、プレミアム会員になるとご覧いただけます。
現代ビジネスプレミアム会員になれば、
過去の記事がすべて読み放題!
無料1ヶ月お試しキャンペーン実施中
すでに会員の方はこちら