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待ったなしの日本原電の資金繰り! 安倍政権は不都合な真実を隠さず、今こそ原子力政策全体の改革を断行せよ
日本原子力発電敦賀発電所(福井県敦賀市) 〔photo〕wikipediaより

 東海第2発電所の深刻な被災と敦賀発電所2号機の活断層問題に揺れる日本原子力発電(原電)が新たな難問に直面している。

 発電事業の再開にめどが立たない中で、1,000億円規模の借入金の借り換え期限が3月末に迫っており、資金繰りのめどが立たなくなっているというのである。

 同社は、東京、関西など電力9社、Jパワー(電源開発)などが大株主の民間企業だ。

 関係者によると、これまでは、原子力で発電した電気の売買契約のある上位5位までの大株主が債務保証をすることで借り入れを受けてきたが、東日本大震災以降、定期点検入りした原発の稼働再開がままならない中で、原電そのものだけでなく大株主5社も収益が悪化しており、金融機関が借り換えに難色を示しているという。

 本来ならば、資金繰り倒産として破綻処理をすれば済む話だが、原電の場合、問題が通常の企業のような債務整理にとどまらない。というのは、原電が破綻・消滅した後も、使用済み核燃料の中間貯蔵、最終処理、原子炉の廃炉処理を誰かがきちんとやらないと福島第1原発のような大事故を誘発して しまうリスクがあるからだ。

 安倍政権は、参議院選挙まで国論を真っ二つに割るような難問には触れない構えを決め込んでおり、原電問題にも素知らぬ顔を決め込んでいるが、事態は待ったなし。核燃料サイクル政策の全容を構築しないまま、原子力発電を民間企業の事業として推進してきた政府の安易な姿勢が再び重大な事故を招きかねない事態になっている。

存続の意義を見い出せない原子力発電事業

 そもそも日本原電は、原子力開発を巡る政府と電力9社の主導権争いの妥協の産物として、1957年 に設立された会社。その名残で、2011年3月末の株主構成をみても、東電、関電など電力9社が全体の85.04%を、政府主導で設立されたJパワーが同じく5.37%を出資する状態が続いている。残りの9.58%は、原子力関連メーカーなど143社が出資している。ちなみに、資本金は1,200億円。

 原電は、原子力発電事業のため東海、敦賀の2発電所に3基の原子炉を保有しているほか、東電と共同出資の「リサイクル燃料貯蔵株式会社」を通じて、青森県むつ市で使用済み燃料の中間貯蔵・管理事業も手掛けている。

 このうち原子力発電事業は、3基そろって稼働していないばかりか、いずれも運転を再開するめどさえ立っていない。

 順に説明すると、まず、東海第2は茨城県那珂郡東海村にあり、東電・福島第一原発と同様に東日本大震災の揺れと津波の直撃を受けた原発だ。激しい揺れで原子炉は自動停止したものの、想定外の津波で残った非常用電源が停止して全電源喪失に直面した。

 福島第一のようなメルトダウンや水素爆発は回避したものの、冷温停止までに3日と9時 間54分を要する綱渡りを経験した。現在まで、緊急安全対策、さらなる安全向上対策、シビアアクシデント対応措置などに追われているのが実情だ。

 こうした事情は、福島第2原発の直面したものに近く、短時間で3原子炉がそろって冷温停止を達成した東北電力の女川原発や定期点検中で無傷だった同東通原発とは比較にならないほどの状況だったと言える。地元の東海村村長が廃炉を主張しており、運転再開も論外とみなされている。

 一方、福井県敦賀市にある敦賀第1は、一昨年1月の定期点検に伴い運転を停止した。これといったトラブルは報告されていないが、この原子炉は日本で初めての商業発電用の軽水炉として1970年3月に営業運転を開始したもので、すでに建設から40年の歳月が経過した基本設計の古いプラントだ。

 そして、原子力規制委員会が重要施設の下を活断層が走っているとの判断を示しているのが、敦賀第1と同一サイト内にある敦賀第2である。それ以前に、原電の説明を言い分通りに記すと、「(一昨年)5月7日より、1次冷却材中の放射能濃度の上昇に伴う漏えい燃料の特定検査のため」プラントを停止。同8月29日より、第18回定期検査もあわせて実施中という。

 補足しておくと、東日本大震災以前から、同社が会社の存続を懸けて計画していた敦賀第3、第4の新設計画は、完全に宙ぶらりんとなったままだ。

 つまり、以上の説明でわかると思うが、原電とその原子力発電事業は、存続の意義を見い出すこと自体が困難な状況が続いているのである。

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