防衛・安全保障 中国
日中開戦 習近平新政権にとって、後退するという選択肢はない

 元旦の朝は北京で迎えた。気温はマイナス15度。大気汚染のせいで薄曇りのため、とても初日の出を拝む雰囲気ではない。そこで代わりに、中国中央テレビが撮ってくれた新彊ウイグルの美しい初日の出をテレビで見ていたら、携帯電話が鳴った。

「香港フェニックステレビです。正月特番で『2013年 中日はどうしても開戦せねばならないのか』という討論番組を放映することになり、ご出演願えませんでしょうか」

 この番組は、いわば「中国版‘朝生‘」で、昨年春にも似たテーマで声がかかって、コワモテの中国人出演者たちに袋叩きに遭った覚えがある。だが今回は、北京での翌々日の番組収録日は、ちょうど日本へ帰国する日だったので、丁寧にお断りしたところ、「ならば北京空港から電話で出演してください」と言われた。

日本専門家&軍事専門家の過激な発言

 というわけで、薄ら寒い北京空港の片隅で電話を受けた。北京西郊のスタジオでは、中国を代表する日本専門家&軍事専門家5人が顔を揃えていた。羅援・中国戦略文化促進会事務局長(人民解放軍少将)、胡思遠・中国国防大学教授、唐淳風・商務部研究員、沈丁立・上海復旦大学国際研究所教授、張焕利・新華社世界問題研究センター研究員である。

 電話の向こうから、5人の過激な発言が聞こえてきた。

羅 いったん日本との戦争になれば、わが人民解放軍は一気呵成に勝ちに行く。

日本よ、何するものぞだ。

胡 カール・マルクスも「戦争は政治の延長である」と述べているではないか。中日は「一衣帯水の関係」などというのは過去の話で、いまや「一衣帯血」の関係だ!

唐 戦争をけしかけているのは安倍の方で、安倍の言い分は、戦争が嫌なら中国が妥協しろというわけだ。われわれの選択は、安倍の妄言につきあわずに、軍備増強あるのみだ。

沈 01年に中米両軍が中国の領空で接触し、中米危機が起こったが、あの時はアメリカ側が中国に全面謝罪して事なきを得た。今回の日本はわれわれに謝罪する意思がないので、あの時のアメリカよりもタチが悪い。

張 私は安倍本人はもとより、安倍の父親(晋太郎元外相)、祖父(岸信介元首相)にもインタビューしたことがあるが、3代揃ってゴリゴリの右翼政治家だ。

 激論には、数百人の北京市民も観客として駆けつけ、意見を述べた。

「すでに日本鬼子(日本人の蔑称)はわが島を占領したのだ。どのみち日本と開戦するなら、解放軍はさっさと開戦すべきだ」

「その通りだ。わが国で日本企業に儲けさせてやっているのに、日本は恩を仇で返す奴らだ。戦争だ! 開戦だ!」

羅 空軍同士の対決は、海軍の対決と違ってこちらにも少なからぬ犠牲が出るので注意が必要だ。

沈 最低でも島の領土の半分は取らねばならない。

唐 半分ではなく全部だ。自分の子供を半分敵にやれと言われて、やる親がどこにいるか!

張 日本の衆議院480議席中、共産党が8席、民社党が2席で、合わせて10席しか平和主義者はいない。7月の参院選が終われば、日本はすぐに平和憲法にオサラバだ。

胡 その通りだ。日本は昨年「9・11事件」(尖閣諸島の国有化)を起こして以降、軍備拡張に拍車をかけているので、われわれも時間がない。

羅 わが国は79年に対ベトナム戦争に勝利して高度経済成長を始めた。いまこそ79年の再現だ!

 すっかり怖気づいてしまった私は、「安倍政権はまずは『日米同盟の再構築』を外交の最優先課題に掲げているのであって、改憲だとか開戦だとかは気が早すぎる」というようなことを述べた。

 だが実際、北京では、対日強硬派たちの声が、日増しに高まっているのは事実だ。

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