Close up〝前手ギュン打法〟で世界を驚かす
松田宣浩 福岡ソフトバンク「ジャパンのサードは任せろ!」

まつだ・のぶひろ'83年5月17日生まれ。滋賀県草津市出身。中京高校、亜細亜大を経て '06 年、ソフトバンク入団。プロ通算7年間で打率・271、88本塁打、76盗塁。タイトル歴はゴールデングラブ賞1回( '11 年)。180㎝85㎏ 。愛称は「マッチ」〔PHOTO〕繁昌良司

「ホームラン打者の打球は放物線を描く。でも僕の理想は、ゴルフで言えばドライバーショットのような打球です。強烈なライナーが野手の間を突けばいいし、その延長にホームランがあればもっといい。僕は本質的に中距離バッターです」

 端正なマスクを綻ばせながら、まるで野球小僧がそのまま大きくなったような男は、そう胸を張ってみせた---。

 松田宣浩、29歳。福岡ソフトバンクの不動の三塁手。彼を語るうえで一つ興味深いデータがある。 '12年シーズンの外国人投手との対戦成績は60打数24安打で、打率はジャスト4割。重い球質、動くボールに滅法強い。WBC日本代表の一員としてメジャー級の投手を迎え撃つのに、もってこいの人材と言えよう。剛腕外国人投手を、どう攻略するのか。

「150kmのボールがくるのだったら、170kmとか180kmのボールがくるとイメージして打席に立てばいいんです。そうすれば150kmは速く感じないでしょ(笑)」

 失礼を承知で言えば、小学生のような発想である。だが彼の〝超感覚〟を語るには、これはほんの序の口でしかない。

「統一球」初年度の覚醒

冷たい雨の中、本拠地・ヤフードーム脇の小道をランニング。2月15日から始まる代表合宿に向けて、調整にも熱が入る

 亜細亜大時代は自他ともに認める大学球界屈指の長距離砲として神宮を沸かせた。通算15本塁打は東都リーグ歴代4位タイだ。'06年に鳴り物入りでソフトバンクに入団(希望枠)。近い将来の主砲に成長するのは確実と目されていた。

 だが、初年度はプロの壁に苦しんだ。

「スピードについていけませんでした。ピッチャーが投げたと同時にバットを出していっても前に飛ばない。当時の僕は、力任せに思いきり振ることしか考えてなかったんです」

 1年目は62試合出場で本塁打3本。2年目も74試合で7本と、プロ入り前に懸けられていた期待には、およそ応えられていなかった。3年目の'08年には142試合に出場して17本塁打とどうにか恰好をつけたが、この年、松田以上にブレイクを果たしたのは西武の「おかわり君」こと中村剛也。46本ものアーチを放ち、初の本塁打王に輝いたのである。