新春特別研究「マラソンでメダル」が見たいのに……なぜ日本人には「箱根駅伝までの選手」が多いのか
フライデー

マラソンに魅力がない

「学生にとって箱根が五輪以上のモノになってしまっている」と話す櫛部が、実業団の選手として初めてニューイヤー駅伝を走ったときのことを振り返る。

「まず、箱根に比べると世間の注目は少ないので、『これまでと違う』と気付かされる。そして、箱根で凄く注目されていたのに五輪は遠い、と現実を思い知らされるんですよ。そのギャップから夢や希望が萎んでいく。箱根で完結してしまって、新たな目標が立てられないんです」

 わかりやすいのが、富士通1年目の柏原の成績。日本選手権1万m14位、全日本実業団選手権1万m11位とすっかり埋もれてしまい、特別な存在ではなくなっている。

「箱根で走ること自体、ちょっと頑張れば手が届くことなんです。それが社会に出て五輪を目標にしても、ロンドンの場合なら長距離はトラックで1人。マラソン代表は3人ですが、300人いるライバルの中から選ばれるのだから競争率は100倍。しかも五輪は箱根と違って4年に一度。比較できないほど非現実的な目標になってしまうのです」

 自らの経験も踏まえ、櫛部は語る。そして日本のマラソン不振を語っているうちに、さらに衝撃的な言葉を口にした。

「そもそも、いまの学生はマラソンに魅力を感じていないんですよ」

 近年の日本男子マラソン代表の低迷ぶりを見て、世界との格差は何とかならないものか、と嘆いていた日本人の一人として、それは驚くべき現実であり、マラソン不振の根源がわかった気がした。