新春特別研究「マラソンでメダル」が見たいのに……なぜ日本人には「箱根駅伝までの選手」が多いのか
フライデー

 五輪のマラソンで活躍するには、箱根駅伝を経験しないほうが有利なのか。一つずつ検証していきたい。

 大学を挙げて箱根を意識し、陸上部を強化しているチームは25校ほどある。各校がそれぞれ毎年10人程度、新入部員を受け入れるとすると、それだけで約250人。大ざっぱに言って、全国の高校生の成績上位者から毎年それ以上の人数が箱根で走ることに憧れて大学の門を叩く。

 しかし、その中で将来、日の丸を背負って戦うだろうと期待される飛び抜けた逸材は一学年にわずか1~2人。つまり2日間の放送でわれわれが目にする200人の選手のうち、未来のスター候補は5人程度という比率になる。

「いまの学生陸上界は短距離より長距離をやっている選手の就職口が多く、箱根を走ることは最大のアピール。そのため就職活動として箱根に出るという選手も多い」(ベテラン陸上記者)

「より広い層に箱根駅伝出場の可能性を持ってもらうため、ぜひ学連選抜を復活させてほしい」と話す川内〔PHOTO〕益田周一

 ほとんどの選手にとって「箱根に出る」ことは脚光を浴びることであり、そこがゴールとなっているのだ。自身も関東学連選抜代表として2度、箱根路を走った市民ランナー・川内優輝(25)はこう話す。

「弟の鮮輝は強豪校・國學院大に入りましたが、結局4年間、箱根を走ることはできませんでした。一般的に箱根駅伝に出場できなければ、実業団から声がかかる可能性はないでしょう。また、マラソンに挑戦させず、箱根だけに縛りつけるような、選手の可能性を引き出そうとしない指導をしている大学があることにも、問題があると思います。僕の場合、結果的に多くの方が注目してくれるきっかけになりましたが、選手自らが箱根をどう位置づけるのかが重要だと思います」

 では、注目度に反してレベルが下がっているのかといえば、そんなことはない。箱根駅伝出場校の登録メンバーの1万mの持ちタイムを見てみると、かつては30分強の選手が多く、その一部に28分台の選手がいるという構成だった。それが最近、メンバーのほとんどが30分を切る大学も珍しくない。自身も早稲田のエースとして箱根を走り、今回も監督として城西大を率いた櫛部静二が話す。

「全体的に持ちタイムが伸びているのは、年々、箱根の存在が大きくなっているということが理由にあると思います。また、タイムだけを狙った記録会が随分と増えた。結果として1万mを30分以内で走る選手が増え、底辺は広がりました。ところが、僕らの時代と比較しても、トップの記録はあまり変わらない。つまり、裾野が広がっているだけなんです」