新春特別研究「マラソンでメダル」が見たいのに……なぜ日本人には「箱根駅伝までの選手」が多いのか
箱根駅伝の直前練習で選手を指導する城西大・櫛部監督。「細かい部分まで丁寧な指導を心がけています」〔PHOTO〕濱﨑慎治

取材・文:渡辺勘郎(ノンフィクションライター)

柏原竜二(東洋大→富士通)竹澤健介(早稲田大→ヱスビー食品)今井正人(順天堂大→トヨタ自動車九州)佐藤悠基(東海大→日清食品)

 ここ数年の箱根駅伝の顔たちはみな、社会人としてそこそこ活躍してはいるものの、世界レベルのマラソン選手に成長できていない。あまりに箱根駅伝の存在が大きくなってしまったことの弊害なのではないか―。

出場することが「ゴール」

 今年も正月の風物詩、第89回箱根駅伝が終わった。テレビ観戦した人、なかには沿道まで出掛けて応援した人もいるだろう。三が日のうちの2日間、計11時間近くにわたって繰り広げられたビッグイベントが終わったいま、祭りの後だからこそ考えてしまうことがある。

 男子マラソンの歴代記録上位20人のうち、箱根経験者は半分以下の8人。その中でエース級の活躍をしたのは、古くは瀬古利彦(早稲田大)、近年では藤田敦史(駒沢大)、藤原正和(中央大)ぐらいだ。かつての箱根のスター、渡辺康幸早大監督や金髪にサングラスで一躍脚光を浴びた徳本一善(法政大)も社会人では振るわなかった。そして上の写真の箱根の主役たちがいま、それぞれ社会人の壁、世界の壁に苦しんでいる。それとは逆に、ソウル五輪、バルセロナ五輪で4位入賞した中山竹通、そのバルセロナで銀メダルに輝いた森下広一、現在の日本記録を持つ高岡寿成は、箱根未経験者なのだ。