2013.01.17(Thu)

振り返れば、宅地造成の現場で〝他者の論理を知ること〟が何よりの勉強になりました。

三菱地所 杉山博孝

週刊現代
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総合デベロッパー・三菱地所。三菱の2代社長・岩崎彌之助が巨費を投じて取得した東京・丸の内エリアに30棟以上のビルを保有し、営業利益は業界第1位を誇る。現在、街全体の魅力を向上させる戦略を進め、近年、丸ビル、新丸ビルなどを次々オープン。同時に積極的な海外進出策もとる。杉山博孝社長(63歳)に社長の風景を聞いた。

 
振り返れば、宅地造成の現場で〝他者の論理を知ること〟が何よりの勉強になりました。すぎやま・ひろたか/'49年、東京都生まれ。'74年、一橋大学経済学部卒業後、三菱地所入社。経理部配属のあと、宅地造成の現場で経験を積み、人事部へ。その後、総務部門で事業再編に関与し、'11年4月より現職。東日本大震災による電力危機を受け、ビルへの省電力機器の導入や、マンションへの太陽光発電の導入などを加速

布団

 入社5年目から、金沢文庫駅(神奈川県)近くの土地約40万坪の宅地造成(宅地として使用できるように、もしくはしやすいように土地を整備すること)を担当しました。たまに雨で河川が溢水する場所でしたが、造成すればその心配もなくなる。しかも、造成終了後は路線バスが通る予定でした。とはいえ地権者の方は、急に提案されても不安ですよね。これを取り除く方法は〝心を尽くす〟以外なかった。具体的には、何度もお会いすることです。毎日のように現地を訪ね、一軒一軒、具体的な計画をご説明して初めて「この人が言っていることはウソじゃない」となる。その後5年ほどで造成や宅地分譲が終わり、よく晴れた日に街を訪ねてみると、新築の家で若い奥さんが布団を干しておられた。いまだ忘れられない光景です。

地図に残す

 東京で生まれ育ちました。弊社に入社したのは、実家が借家だったから(笑)。私は我が家を持ちたかったのです。あとは、街作りを計画し、それが形になっていつまでも残るっていいな、と思ったからです。

正直も才能

 若い頃は失敗もしました。タバコを吸いながら仕事をしていたら、火が飛んで、手書きの書類に穴を開けてしまったのです。思わずインクをこぼしてごまかしたくなりましたが(笑)、素直に「すみません!」と謝りました。入社2~3年目のことです。

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