佐藤優 インテリジェンス・レポート
「兼原信克・内閣官房副長官補人事の重要性」「金正恩の元旦演説」

佐藤優直伝「インテリジェンスの教室」Vol.005より
【はじめに】
 新年あけましておめでとうございます。今年もご指導ご鞭撻のほど、よろしくお願い申し上げます。
 2013年は、国際関係における新帝国主義的傾向が一層強まると思います。通常のマスメディアからではつかみにくい内外情勢にこのメルマガでは鋭く切り込んでいきたいと思います。
 その観点で、分析メモが長くなりすぎないように注意します。インテリジェンスの世界で、政策決定者は長文の報告書は読みません。それですから分析メモが必要とされるのです。分析メモを読んで、「この点についてもっと知りたい」ということがあれば、遠慮なく、質問してください。読者の関心が多いテーマについては、質問に対する答えだけでなく、分析メモや読書ノートでも対応していきたいと考えています。

【目次】
―第1部― インテリジェンス・レポート
 ■分析メモ(No.10)「兼原信克・内閣官房副長官補人事の重要性」
 ■分析メモ(No.11)「金正恩の元旦演説」
―第2部― 読書ノート
 ■『隣人。38度線の北』
 ■『モサド・ファイル イスラエル最強スパイ列伝』
―第3部― 質疑応答
―第4部― 文化放送「くにまるジャパン」発言録
―第5部― 佐藤優さんの今後の予定
 

分析メモ(No.10)「兼原信克・内閣官房副長官補人事の重要性」

〔PHOTO〕gettyimages

【重要ポイント】
◎兼原信克氏(前外務省国際法局長)の内閣官房副長官補への転出は、河相周夫外務事務次官の激しい抵抗を押し切って、首相官邸の主導で行われたものである。

【コメント】
1.
マスメディアは大きく報じていないが、兼原信克氏が首相官邸に入り、内閣官房副長官補をつとめることは、安倍晋三首相の官邸主導外交に向けた強い意志を示すものである。

2.―(1)
内閣官房副長官補は、事務次官と同格である。81年入省の兼原氏がこのポストについたことは異例の抜擢だ(梅本氏は77年入省)。この人事は、安倍政権の内閣官房参与に谷内正太郎(やち・しょうたろう)元外務事務次官(69年入省)が就任したこととあわせて理解すべきである。

2.―(2)
谷内氏は、国際社会が新帝国主義的に転換していることを認識している。外務事務次官時代に、戦略的外交を展開したことで、内外の外交専門家から谷内氏は高く評価された。谷内氏の下には「チーム谷内」と呼ばれる優秀な外交官のグループが、語学閥や専門分野を超えて集まった。兼原氏は「チーム谷内」の中核となる人物である。

3.―(1)
兼原氏を国際法局長から内閣官房副長官補に転出させる人事は、首相官邸の主導によって行われた。これに対して、河相周夫(かわい・ちかお)外務事務次官(75年入省)は激しく抵抗した。その理由は、梅本氏(前スイス大使)が客年11月22日に内閣官房副長官補に就任したばかりだったからだ。

梅本氏は、北朝鮮との秘密交渉を担当し、その後、北米局長をつとめた外務省の主流派であるアメリカ・スクールに属する。本人の能力や政治的姿勢(政治的に梅本氏は民主党に批判的で、自民党寄りである。・・・(略)

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