村山斉「宇宙になぜ我々が存在するのか」 第2回 
ものすごく大きく、そして小さい宇宙という世界の不思議

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第1回はこちらをご覧ください。

宇宙はものすごく大きくて小さな世界なんです。
宇宙はいったい何からできているのでしょうか。

宇宙はウロボロスのヘビ

『宇宙になぜ我々が存在するのか』
著者:村山斉
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「なぜ、私たちがこの宇宙に存在するのか」という問題に、「ニュートリノが関係しているかもしれない」といわれても、ほとんどの人は何のことかさっぱりわからないと思います。中には、「この人は何をいっているのだろう」といぶかしがる人もいるでしょう。

 本論に入る前に、まずはこの宇宙の大きさから考えてみましょう。私たちが日常的に使うもの、たとえば、ノートやペンなどといったものはおおざっぱにいって数センチメートル、私たちの身長は数メートルの大きさです。そこからだんだんと、スケールを大きくしていくと、駅やデパートなどのビルは数十メートルで、東京タワー、東京スカイツリーぐらいのものは数百メートルとなります。富士山やエベレストなどの高い山になると、大きさは数千メートルです。さらに、地球の直径は約一万三〇〇〇キロメートル、地球から太陽までの距離は約一億五〇〇〇万キロメートル、太陽から海王星までの距離は約四五億キロメートルと、どんどん広がっていきます。

 もちろん、宇宙はもっと広がっています。太陽系の外側には銀河系が広がっていますし、銀河系の外にはアンドロメダ銀河をはじめ、たくさんの銀河が集まって銀河団をつくっています。このように、眺める範囲を大きくしていくと、宇宙はどこまでも続いています。ビッグバンからの光が広がっているのは1027メートルくらいの範囲なので、それ以上はどうなっているのかは、まだよくわかっていません。ただ、わかっている範囲だけでも、ノートやペンからは二九桁も開きがあります。それくらい宇宙は大きなものなのです。

図1-1 ウロボロスのヘビと宇宙の調和 ギリシャ神話に登場するウロボロスのヘビは、自分のしっぽを飲み込んでいる。この世界でも広大な宇宙というヘビの頭が素粒子というしっぽを飲み込んだ構造になっていると考えられている。

 ところが、宇宙の研究をしていくと、大きなものだけでなく、小さなものも大事だということがわかってきました。ノートやペンの大きさから小さい方をたどっていくと、原子、原子核、素粒子の世界になります。今の宇宙は私たちからは想像もできないくらい大きなものですが、時間を巻き戻してみると、不思議なことに宇宙はどんどん小さくなっていきます。そして、生まれたばかりの頃は、とても熱くて小さいものだったことがわかっています。ですから、宇宙がどのように生まれて、今の宇宙になってきたのかということを明らかにするためには、小さな世界のことがわからないといけないことになります。