磯山友幸「経済ニュースの裏側」

「公的資金で製造業支援」は禁じ手だ!安倍政権がはまる「ターゲティング・ポリシー」という愚策

2013年01月09日(水) 磯山 友幸
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〔PHOTO〕gettyimages

 「経済再生」を政権公約のいの一番に掲げた安倍晋三内閣が本格的に動き出した。日本企業の競争力をどう回復させるかが、1つの大きな柱になる。いったいどんな施策が具体的に出てくるのかと思っていたら、驚くべき政策が飛び出してきた。

 大晦日1月31日の日本経済新聞は1面トップで、「公的資金で製造業支援、工場・設備買い取り」と報じた。時事通信や産経新聞も報道しているので、安倍官邸が流した方針であることは間違いない。国が民間企業の設備を買い上げるというのは資本主義国家では禁じ手。前代未聞の政策といっていいだろう。新聞では総額1兆円という数字まで踊っていた。

 具体的なスキームはこうだ。政府が官民共同出資の会社を作り、特別目的会社(SPC)を通じて企業が持つ工場や設備を買い取る。企業はSPCにリース料を支払って工場や設備はそのまま使い続ける、というものだ。企業は売却で得られる資金を設備投資や研究開発に充てることができ、電機や素材など国内製造業の競争力強化につながる、と報じられている。

「官民ファンド」の先行モデルの1つは産業革新機構

 さすがに政府が直接出資するわけには行かないので、日本政策投資銀行や新設する「政府系機関」が出資するという。政府系機関とはおそらく、最近霞が関が熱心に設立している「官民ファンド」のことだろう。安倍政権が経済再生の司令塔として設置した「日本経済再生本部」で、「産業競争力強化法案」(仮称)の策定を検討しており、この中にこのスキームを盛り込む方向だという。早急に作成する今年度の補正予算でも1000億円程度の予算を付ける方向だという。

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