雑誌
韓国・国家情報院の幹部をスクープインタビュー
北朝鮮内部崩壊
金正恩の時代はまもなく終わる

〔PHOTO〕gettyimages

 正恩大将はミサイル発射で意気揚々としているかと思いきや、もうヤケ気味なのだという。「平壌奥の院」でいま、大きな異変が起こり始めている。韓国の専門家が「危うい29歳の指導者」を分析した。

こんなはずではなかった

 本誌は、「韓国のCIA」こと国家情報院の幹部へのインタビューに成功した。国家情報院は、「自由と真理に向けた無名の献身」をスローガンに、北朝鮮情勢の諜報活動を行う、韓国政府の専門機関だ。

 以下は、その一問一答である。

—日本で総選挙が行われた12月16日、平壌では、17日に死去1周年となる金正日総書記の中央追悼大会が開かれ、金正恩第一書記が出席しました。またその4日前には、金総書記の「遺訓」として、長距離弾道ミサイル「銀河3号」の発射実験を強行し、金正恩第一書記も衛星管制総合指揮所を訪れて激励しています。

 このような現在の金正恩政権を、どのように見ていますか?

「金正恩は、表向きは威風堂々としているが、政権内部はもうメチャクチャだ。おそらく『こんなはずではなかった』と、苦悩とタメ息の日々だろう」

—それはどういうことでしょう。

「金正恩は26歳の誕生日、すなわち'09年1月8日に、父・金正日総書記から、内々に後継指名を受けた。この時、正恩は父親に向かって、次のように述べた。

『首領様(故・金日成主席)は主体思想によって党を掌握し、人民を指導しました。将軍様(金正日総書記)は先軍政治(軍最優先の政治)によって軍を掌握し、人民を指導しました。私は経済改革によって内閣を掌握し、人民を指導したいと思います』

 つまり、正恩が進めたいのは、中国式の経済改革なのだ。実際、今年の6月28日には、金正恩政権のマニフェストともいうべき『新経済管理改善措置』を発表した。これは、経済運営の主管を朝鮮人民軍から内閣に移行し、一部で市場経済を容認していくという画期的な内容だった。

 だが金正恩が今年後半に行ったのは、経済改革ではなく、その反対の政策、すなわち軍の強硬派が主導したミサイル発射だった」

—金正恩も、金正日と同様に、核とミサイルによって、自国の発展を図ろうと考えているのではないですか?

「金正恩という若い指導者は、父親の金正日と異なり、経済的観点から物事を判断するタイプだ。

 北朝鮮は核とミサイル開発に、これまで約30億ドルもの費用をかけている。これは北朝鮮の国民全員に一日3食トウモロコシを配給したとして、丸3年配給できる額だ。

 そもそも北朝鮮の国家予算は60億ドルに過ぎないので、核とミサイル開発に国家予算の半額がつぎ込まれていることになる。そもそも2400万人の小国で120万人もの軍人がいる。こうしたことは金正恩の本意ではない」

—では、金正恩の本意とはどういうものですか。

「正恩は、アメリカと敵対せずに、宥和策によって早期の国交正常化を図りたいのだ。北朝鮮と似たような立場にあったミャンマーは、経済改革を始動させたとたん、それまで長年にわたって経済制裁していたアメリカが制裁を解き、いまや日本や欧米企業が殺到している。金正恩は、北朝鮮をミャンマーのようにしたいのだ」

—しかし今回のミサイル実験で、金正恩が平壌の衛星管制総合指揮所を視察した写真と、発射を指示した命令書が公開されました。これはミサイル発射を金正恩が主導したという意味ではないですか?

「あの一連の写真は、非常に不可解だった。例えば金正恩は、指揮所の椅子に座ってタバコを吹かしていた。発射直前で指揮所が一番緊張している時に、タバコを吹かすなどということは、いくら最高指導者とはいえ、あり得ない。正恩のヤル気のなさを感じる。実際、14日に平壌で行われたミサイル発射の成功を祝う集会に、正恩は出席していない。

 あの写真を分析して分かったのは、金正恩は軍の強硬派からの強い要請で、本意ではない指揮所への視察に、発射当日ではなく数日前に行かされたということだ。もしくは、発射を中止するよう命令するために、自ら出かけたのかもしれない。実際、12月9日の深夜に、朝鮮中央通信は、発射の無期延期を示唆する至急伝を流している。これこそが、正恩の真意だったのではないか」

—それでも12月12日午前9時49分に、ミサイルは発射されました。

「つまりは、正恩は軍の強硬派の圧力に屈したのだ。正恩は9月以降、地方視察へ行かず、平壌に引き籠もっていた。今回のミサイル発射に際しても、平安北道東倉里の発射場へは行かなかった」

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