ねじれ解消なくして安倍政権に安定はない。まずは参院選までの成果が勝負である!
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 昨年末の総選挙で、政権が交代し、安倍内閣が誕生した。これは、国民が、失政続きで日本の国力を弱めてしまった素人集団、民主党政権を断罪した結果である。マニフェストで国民に約束したことを守らず、詐欺師まがいの政治を行った民主党は、政治そのものへの信頼感を失墜させてしまったのであり、その責任は重い。

 第三極も、俄仕立てで成立した政党も含めて乱立し、これが小選挙区制度の下で自民党を利することになった。国民が積極的に自民党復権を望んだわけではないことは比例区の得票を見てもよくわかる。3年前の夏の総選挙、そして政権交代のときのような国民の熱気はない。

 政治に対する幻滅や失望の繰り返しが生んだのが、この自公政権の復活という選択肢であり、夢と希望にあふれた出発ではない。安倍政権は、そのことを冷静に認識すべきであり、その醒めた感覚なしに、選挙に大勝したことに有頂天になるようでは、この国の舵取りに失敗することになる。

 今年は7月に参議院選挙が行われる。これが本当の勝負で、この選挙に勝って、参議院でも自公が過半数を制すれば、ねじれ状態が解消し、安定政権が生まれる。逆に、これから半年間に成果を上げることができず、失敗を繰り返すようなことになれば、ねじれ国会は続き、最悪の場合、安倍首相の退陣という可能性もある。したがって、今から半年が勝負なのである。

 参議院では、自公両党では過半数に達しない。みんなの党や維新や新党改革が加われば、多数派を形成できるが、それは政策次第である。したがって、綱渡りの国会運営を迫られることに変わりはない。参議院では、第一党が民主党であり、今度は敵討ち的に、安倍政権を徹底して攻めていくことが予想されるし、予断を許さない状況が続くであろう。

民主党政権下で失われた国益の回復

 そのような状況認識の下で、安倍首相が、デフレからの脱却・経済再生を最優先課題に掲げたのは、理にかなっている。幸いにして、株価も震災前の水準に回復したし、円安も続いている。これは安倍政権の経済政策に対する期待を反映したものであろう。私は、これまで、日銀の金融政策を厳しく批判し、インフレターゲットの導入を提案してきたので、安倍首相が同様の手法を採ることには賛成である。

 しかし、注意すべきは、金融緩和のみですべての問題が片付くわけではない、ということである。デフレ克服には、同時に経済成長戦略が必要である。規制緩和、法人税減税など、日本の企業が国際競争を勝ち抜くことができるような環境整備が不可欠である。

 最近の円安・株高にしても、「財政の崖」を回避したアメリカの動向が大きく影響しているし、グローバル経済の下でのアメリカやヨーロッパの経済情勢も考慮に入れねばならないことは当然である。

 インフレターゲットの導入や金融緩和は万能薬ではない。そのことを念頭に置かずに、政策の有効性を過度に強調すると、期待通りの成果が上げられなかったときに、大きな責任を負ってしまう。経済学者にもいろんなスクールがあるし、経営者の現場感覚も大切である。広く周知を集めて、経済金融戦略を練る必要がある。

 次に外交防衛も重要である。韓国へは額賀氏を特使として送り、朴新政権との間で関係修復を図ろうとしている。麻生副総理は、ミャンマーを訪ね、経済外交を始動させた。2月には、森元総理をロシアに派遣し、プーチン大統領と北方領土をめぐって意見交換させる予定である。安倍首相自らはアメリカに渡り、オバマ大統領と首脳会談を行う。また、中国との間でも、悪化した関係を元に戻す努力を展開するであろう。

 このような努力を積み重ねて、3年3ヵ月の民主党政権下で失われた国益の回復を図らねばならない。今の日本では、ナショナリズムが過熱化する傾向があり、それは韓国や中国でも同様である。ナショナリズムがショーヴィニズムとならないように、慎重に国民を導いていかなければならない。政権を担っている以上は、野党のときと同じ口ぶりであってはならないのである。

 最後に、東北の被災地のことは一日も忘れてはならない。総選挙中にも東北地方を訪ねたが、震災や原発事故からの復旧は遅れ、政治に対する不信感がみなぎっていた。安倍政権になってよかったと被災者たちが語るとき、はじめて日本の未来に光がさしてくる。

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