「日経平均1万5000円」も実現できる安倍政権のリスク要因は麻生蔵相ら経済閣僚の「危うい見識」

 安倍首相の年頭所感は「デフレと円高からの脱却による経済の再生だ」として、経済の他にも教育、外交を立て直す方針を掲げ、「一つ一つ『結果』を出していくことにこだわり続ける」と決意を表明した。

 安倍政権では、経済政策として大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略を掲げている。筆者としてもっとも注目するのが金融政策である。

 経済政策の国際比較を研究する筆者からみると、先進国にあって日本であまり考慮されないものとして、マクロ経済政策としての金融政策がすぐ浮かぶ。本コラムで再三指摘してきたように、先進国ではマクロ経済政策の中心は金融政策だ。

 インフレ目標に基づく金融政策は先進国では当たり前だ。雇用政策としての金融政策も先進国では常識だ。ところが、日本ではインフレ目標に基づく金融政策も、雇用政策としての金融政策にも、強力な反対があった。

 

 筆者が小泉政権の時、政策としていつも意識していたのは先進国にあって日本にないものだ。先進国で当たり前のことを当たり前のようにやれば、日本は必ず成長すると信じてきた。その観点からいえば、金融政策を世界標準にすることは当たり前の話だ。雇用重視のはずの民主党ではなく、自民党が世界標準の金融政策をひっさげて政権交代したのだから、皮肉なモノだ。

 当たり前の経済運営さえすれば、先進国で平均的な経済パフォーマンスは達成可能だ。経済パフォーマンスは国民の所得の総和である名目GDPで測ることができる。2000年代の日本の名目GDPの平均伸び率は▲0.4%で先進国のOECD34ヵ国中34位の最下位だ。もし自民党政権の公約のように3%になったとしても、32位に上がるにすぎない。この経済停滞は1990年代から続いている。
 


 

 日本だけが経済停滞しているのは、日本だけデフレだからだ。本コラムでも指摘したとおり、デフレと円高の根は同じで、通貨の過小供給だ。円高は輸出を伸ばさないで、経済停滞に輪をかける。

「90年代以降、円高でも輸出は伸びた」は本当か

ところが、自民党の某幹部は筆者に対して、90年代以降円高になっているが、輸出は伸びているので、円高は問題でないと言ってきた。円安になると輸入産業やエネルギー産業でコスト高になってまずいというのだ。

それに対して、円安による輸出産業への支援は輸入産業やエネルギー産業のコスト高を上まわり、経済全体ではプラスになる(為替レートの10%安はGDPを0.2~0.5%程度増加させる)こと、90年代以降日本の輸出は伸びているが、世界の伸びや先進国の伸びに比べて見劣りし、結果として経済低迷への一因となっていると説明した。

ところが、90年代以降の日本の輸出の伸びを、世界と比較せずに過大評価する意見が一部の経済評論家からも出されている。おそらく「家元」の通貨当局から出された話だろう。

 そこで数字をもって日本の輸出の伸びは先進国からも見劣りすることを以下に示しておこう。世界との比較なしの数字を使うのは、かなり危うい。当局による政治家やマスコミなどへの洗脳方法でしばしば利用されるものだ。

 先進国の普通の経済政策を行えば経済成長し、経済を反映する株価も当然上がる。週刊誌では、「株価2万円は安倍バブル」という見出しもあるが、日本以外の先進国は2008年9月のリーマンショック当時の水準はとっくにクリアしている。ショック前の最高水準にも達しようとしている。リーマンショック前の最高水準をバブルというなら、世界でバブルはたくさん起こっていることになる。

 日本で言えば、リーマンショック時の水準は12000円、その前の最高水準は18000円だ。今後うまく経済運営すれば、年内に12000円から15000円程度になっても驚かないだろう。

この続きは、プレミアム会員になるとご覧いただけます。
現代ビジネスプレミアム会員になれば、
過去の記事がすべて読み放題!
無料1ヶ月お試しキャンペーン実施中
すでに会員の方はこちら