[格闘技]
近藤隆夫「石井慧が見せた“可能性”と、露呈した“勝負弱さ”」 

12.31『INOKI BOM-BA-YE2012』を観た後で

徐々にでも感じられる成長

 迷った。迷いに迷って、なかなか決断することができなかった。12月30日、『KEIRINグランプリ』の取材を終え、京王閣競輪場を出た後も、まだ迷っていた。大晦日、さいたまスーパーアリーナへ行くか、両国国技館へ行くべきかをである。 

 最初は『DREAM.18&GLORY4』の取材に、さいたまスーパーアリーナへ行くつもりだった。ヘビー級の新旧トップキックボクサーが世界から集結してのワンナイト・トーナメントは見応え十分だろう。楽しみにしていた。しかし、その後、『INOKI BOM-BA-YE2012』で総合格闘技の試合が組まれることが決まり、続々とカードが発表される。

 石井慧vs.ティム・シルビア(米国)、ミルコ・クロコップ(クロアチア)vs.鈴川真一、ホーレス・グレイシー(ブラジル)vs.川口雄介、ミノワマンvs.ボア・ブラトブズ(スロベニア)。

 1年ぶりとなる石井の試合、ミルコの日本での久々の総合マッチは現場で観たかった。加えてIGFというプロレスのリングで総合格闘技が行われる……その際の会場の雰囲気に触れたいと思った。結局、大晦日の午後、足は両国に向いていた。

 一昨年の大晦日、石井は『元気ですか!! 大晦日!! 2011』のリングに上がり、エメリヤーエンコ・ヒョードル(ロシア)と対戦、1ラウンド失神KO負けを喫した。それ以来の試合である。対戦相手のシルビアは、かつてのUFCヘビー級王者。全盛期に比べれば動きにキレもなく、パワーダウンした感は否めないが、それでもコンスタントに試合をしており、現在の石井の実力を測るには格好の相手だった。

 石井は序盤からペースを掴んだ。テイクダウンに成功し、グラウンドで上になった状態からパンチ、ヒジを連打。シルビアは右眼上を切られ、出血。優位のまま1ラウンドを終えた。だが、そこから攻め入ることができず、試合は判定に。3-0のスコアで石井が勝利を収めた。

 徐々に、徐々にだが石井は強くなっていると感じた。1ラウンドにグラウンドへ持ち込んだ後も落ち着いて動けていたし、打撃の攻防もデビュー当時に比べれば、かなりうまくなっている。上達のスピードは決して速くはないが成長はうかがえた。