宮台真司 × 安藤美冬 【第2回】
フラグを立て、価値を発信せよ
「どんなゲームにも順応できるのがノマド的な人です」

[左]宮台真司さん(社会学者、首都大学東京教授)、[右]安藤美冬さん(spree代表取締役/フリーランス)

【第1回】はこちらをご覧ください。

計画通りに進まないことを楽しむタイプ

宮台: 原発企業が1000人を超える社員を集めて、脱原発活動をする学者の講演に耳を傾ける。そういう姿勢って素敵です。

 人はステレオタイプを持つ動物です。会社・国・性別やそれに属する人に対し、学習された固定観念を持ちます。学習は個人的にも社会的にもなされます。

 僕らは固定観念をベースに予想したり計画したりします。でも実世界は固定観念とは違う。自分と違う固定観念を持つ人もたくさんいる。計画通りに行かなくて当たり前です。そうした期待外れは、世界を知る契機でもあります。計画通りに行かないことを楽しむべきです。

 ハイデガーが退屈を三分類しています。第一は、手持ちぶさたの退屈。第二は、楽しいパーティの退屈。第三は、世界の中に存在することの退屈。ハイデガーはこうした退屈を〈ここではないどこか〉を理性ゆえに観念する人間の本質として肯定します。

 本質かどうかは別に、計画通りということは、世界が自分の思考枠内に収まること。だから、つまらない。世界が自分の思考キャパを超えるのは自明です。なのに世界がそう現れないのは何かの間違いです。何かが計画通りに進むのは、何かの間違いなんです。

 美冬さんも、計画通り行かないことを楽しむタイプでしょ? ところが一部の人は「それは困る」となっちゃう。日本では最近、計画通りに行かないと困る〈計画厨〉が増えました。性愛や人倫の世界にまで計画通りを期待するヘタレだらけです。