大野俊三「Jリーグ20年間の成果が現われた2012年」

 ロンドン五輪での男女代表の躍進、サンフレッチェ広島のJリーグ初優勝、香川真司のマンチェスター・ユナイテッド移籍……。今年のサッカーシーンもさまざまな話題がありました。その中で私が強く感じたのはJリーグが創設以来、取り組んできた“育成”の成果が実を結び始めたということです。

ポイチら元Jリーガー指導者も光る

 今年はJリーグが開幕して20年目でした。リーグでは育成にも重点を置き、選手と指導者の養成に力を入れてきました。20年の年月の中で育成のメソッドが確立されたからこそ、ロンドン五輪での男子ベスト4といった結果につながったのです。ロンドン五輪の男子日本代表を見てみると、23人のうち半数以上(13人)がJクラブのアカデミー出身者(ジュニアユース含む)。これは各クラブが世界レベルで戦える選手の育成に成功している証といえるでしょう。

 さらにJリーグでステップアップした若手が海外クラブに移籍するケースも増え続けています。香川や長友佑都(インテル)らがビッグクラブで活躍する姿は、多くの子供たちに夢を与えてくれています。

 そして、指導者も自らが蓄積してきた経験を選手たちに伝えられる人材が増えてきたと感じます。その代表格が広島の“ポイチ”こと森保一監督でしょう。元日本人Jリーガー監督の優勝は、史上初の快挙でした。ポイチがJリーグで培ったものを、どのようにチームへ落としこむか。僕は今季、この点を注目ポイントのひとつにしていました。

 彼は、広島によく整備された堅いディフェンスをもたらせました。選手たちに常に危険なエリアを警戒させ、泥臭くボールを追いかけさせる。まさにポイチの現役時代のプレースタイルです。結果、今季の失点はJ1で最少(34)。攻守のバランスをうまく保ち、頂点へと導きました。

 今や多くの元Jリーガーが全国各地で指導に携わっています。彼らがJリーグや代表で学んだことを特に育成年代の選手たちに継承できれば、日本のサッカーはさらに前進していけるでしょう。