首相官邸人事は霞が関のパワーバランスに配慮した絶妙な配置! 前回の失敗に学んだ安倍新政権は国民の信頼を取り戻せるか!?

2012年12月28日(金) 長谷川 幸洋
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 メディアでは、今井の政務秘書官起用をとらえて「今度は経産省政権になる」いう見方が広がった。だが、私の見立ては違う。霞が関のチャンピオンは、いまも変わらず財務省である。なぜなら予算と税制の権限を握っているのに加えて、組織的な情報収集能力が圧倒的で他の追随を許さないからだ。そこは実は大手メディアでさえもかなわない。

 人材の質と量という点でも、経産省とはまるで違う。たとえば東京電力の生死を握り、経産省にとって最重要案件だった原子力損害賠償支援機構法案を書いたのは、実は財務省官僚だった。

 この法案が経産省にとって重要なのは自明だったが、極めて複雑にならざるをえなかったために、経産省内では当初「スケルトン(骨組み)は出来ても、実際に法案作成までこぎ着けられるかどうか」と懸念が出ていた。

 結局、自前では書き切れず、財務省から「法案を書かせたらピカイチ」と名高い中堅官僚をレンタルしてきて書いてもらったのだ。はっきり言えば、この段階で東電処理の主導権は経産省から財務省に移っていた。官僚の能力とは、最終的には法案作成能力である。この例からみても、いくら経産省ががんばっても財務省の底力には及ばない。

前回の教訓を生かした運営

 安倍もそこはよく分かっているはずだ。だからこそ、経産省を厚遇しているとみる。つまり最強官庁である財務省をけん制するために、あえて経産省のパワーを利用しようとしているのだ。逆に言えば、経産省を利用するくらいでないと、とてもじゃないが、財務省に太刀打ちできない。ここが前回の教訓なのだ。

 そうは言っても、これはあくまで陣立ての話である。実際に政権がどう動いていくかは仕事が始まってみないことには、なんとも言えない。

 もう一つ、今回の閣僚と党役員人事で興味深かったのは、結果論だが、新聞はじめメディアの事前報道にかなり間違いが多かった点だ。組閣当日に重要閣僚の名前を一面で間違えた新聞もある。

 現場は苦労して取材したのだろう。それでも間違ったのは、安倍側の秘密保持が徹底していたからだ。政権側からみると、誤報が相次いだのは、実は悪い話でもない。メディア側が以後、心理的にひるむからだ。「次も間違ったらどうしよう」と心配するので当然、政権幹部への取材が慎重になって、念には念を入れるようになる。それだけ腰も低くなる。

 このあたりの情報管理にも、前回の教訓が生きているのではないか。

次ページ  人事の話はこれくらいにして、…
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