田原総一朗×勝間和代×安藤美冬 「メディア化する個人のジレンマ」 第3回「NHKが信頼できる?!それはプロデューサーに騙されているんですよ」

【第2回】はこちらをご覧ください。

批判のなかにもおもしろい情報がある

安藤: 『「有名人になる」ということ』、という本を書くときは勇気が要りませんでしたか? 

勝間: いろいろな人に聞かれるんですけれども、ごく普通に淡々と書いたんですよ。

田原: タイトルは自分でつけたの?

勝間: 自分でつけました。

田原: 安藤さんはこんな本を書ける?

勝間: 書けませんよ。そこまで全然到達していないですし、書けないですね。仮に私がこのような本を書くチャンスをいただいたとしても「どう思われるんだろう」というふうに周りの目を気にしてしまうかもしれません。

田原: ここに「有名人になるデメリット」というのを書いているんだけれども、「衆人環視の下にみんなに見られる」「やたらに悪口が飛んでくる」と書いていますね。勝間さんは人からどう見られるというようなことはあまり考えないの?

勝間: 昔は気にしていた時期もあったんですけれども、そこから2周くらいして今はあまり気にしなくなりましたね。いくつか全部ファクトを確かめたんですよ。一つは2ちゃんねるのひろゆきさんとの対談で揉めた件があったんですけれども、私のブログにワーッと5000件とか1万件くらい誹謗中傷コメントがついたので、あまりに悪質なものについて弁護士さんを使って何人かトレースしてみたんです。

田原: 2ちゃんねるでは、ぼくも悪口ばっかりだ(笑)。

勝間: その件ではたまたま私のブログへの書き込みだったので、管理者の私のほうでは書き込んだ人のIPアドレスがわかるんですよ。そのIPアドレスの開示訴訟までやって、ちゃんとキャリアから住所をもらって、その方の住所に対して、「もしそのようなお考えでしたら、こういう訴えを起こしますがどうしますか?」というような文書を、弁護士さんを通じて何通か送らせていただいたんですね。そうしたら、相手がどういう人かわかったんですよ。それで、これは気にしていてもしょうがないな、と思ったんです。

田原: つまんないやつだったんだね。

勝間: つまんないというか、たとえば何件かあったなかですごく印象に残ったのは、そのなかの1人が高校生だったことなんです。高校生で、ちょっといろいろな事情があって学校にも行けなくなってしまった方で、私が誰であるかも知らないし本も読んだことがないんですよ。ただ単に、お祭りだったから参加しただけです、以上、と。

安藤: ただ騒ぎに乗っかっただけだったんですね。

勝間: そんなものを気にしても何の意味もないですね。そういう事実がわかったり、あとはAmazonの書評コーナーで、どう見ても同一人物なのに二つのハンドルを使って自作自演の一人二役をやっている方がいるんですけれども、その方が私の本を読んだのかどうか何回も確認したんですよ。そうしたら、「読んでいない」と断言されたので、じゃあ気にするのはやめよう、と。

田原: 僕は勝間さんほど有名じゃないからそんなに多くはないけれども、やっぱり誹謗中傷はたくさんありますよ。2ちゃんねるなんかではコテンパンに言われるんですが、実は僕はそういうふうに言われるのが好きなんですよね(笑)。ああ、こういう言い方があるのか、とか。逆に言うと、こんなに熱心に僕の言うことを聞いてくれるのか、とか、そういうことはないですか? こういう見方があるのか、とか。

勝間: ありますね。新しい視点もありますね。最近では、私がこの間デルタ航空で出た機内食のベジタリアン食があまりにもひどかったので、それを写真に撮ってTwitterに載せたら、「あれはアレルギー対策の意味もあって、わざとシンプルにしているところもあるのに、そんなこともわからないのかこのオバサンは」みたいな書き込みがあったんですよ。

 それで、「そうか、アレルギー対策の意味があったのか」と、そういう批判のなかにもおもしろい情報が入っていることがあるんですよ。

安藤: 私は自分では本当に普通というか、精神的にすごく強いわけでも弱いわけでもないと思うんですけれども、こういうお2人だからこの世界で長く活躍されているんだな、と思いました(笑)。やっぱり、ちょっと普通じゃないと思いました。

田原: それはもうちょっと詳しく聞きたい、普通じゃないってどういうこと?

安藤: 「2ちゃんねるで書かれるのは嫌いじゃない」とか、自らIPアドレスから相手を割り出すとか、そういった行為は心臓が強くないとできないですよね。私は飛んでくる誹謗中傷に対してはスルーするだけで、自分の名前でエゴサーチもかけませんし、たまにTwitterでメンションがきた場合には、なるべく関わらないようにします。普通の人間ですから、人となるべくやりあいたくないし、傷つくのが怖いという気持ちもあって。

田原: 勝間さんは、やっぱり批判されるとイヤですか?

勝間: 昔は気にしていたんですけれども、最近はあまりにも多くなってきて、そうなるとどうでもよくなってくるじゃないですか(笑)。1日1回くらいなら気にするんですが、1日回に100くらい言われるとだんだん馬耳東風になってくるんですよね。数の問題だと思うんですよ、多分。

田原: Twitterで何か言うとたくさん反論がありますね。そうすると、こんなにたくさん反論があって、おもしろいな、とか。

勝間: それもありますよね。それこそ反応がなかったら誰も見ていないということですから。

田原: 問題にされないよりは問題にされたほうがまだマシじゃないか、と。

安藤: 本当ですか? ということは、私に関して言えば「心の準備」ができていないうちに多くの人に存在を知られるようになったのが大きいのでしょうか。 私は半年前まではほとんどメディアに出たことがなかったんですね。

 おそらく『情熱大陸』への出演がターニングポイントになったと思うんですけれども、あれも突然決まった話だったんですよ。3月の下旬、放送日のわずか3週間前に、急にプロデューサーの方から連絡があって「あなたを推薦していいか」と言われて、それで翌日に出演が決まって、さらにその翌日には密着取材を開始するという、めまぐるしい展開でした。

勝間: 普通は3ヵ月くらい時間をかけるものなので、3週間というのは珍しい話なんですよね。

田原: よっぽど安藤さんが注目されていたんじゃないの? 安藤さんの登場の仕方がすごかったんだと思う。

安藤: その前のメディア出演というと、NHKの『ニッポンのジレンマ』などに出たことはありますが、そうは言っても、独立して1年ちょっとのただのお姉ちゃんなわけですよ。そうしたセルフイメージと周りの人たちから見られる現実のギャップに戸惑うことばかりでしたね。

 いきなり名前を知られるようになって、電車に乗っていても街を歩いていても、いろいろな人に声をかけられるようになるという状況が、わずか数ヵ月の間で起きたので、それについていくのに必死でした。

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