二宮寿朗「“2050年までのW杯優勝”実現のために」

「2050年までにFIFAワールドカップを日本で開催し、日本代表チームはその大会の優勝チームとなる」――。
 これは「JFA2005年宣言」(以下2005年宣言)で掲げられた、日本サッカー協会の壮大なる目標である。2050年というとまだまだ先のことのように思えるが、2014年のブラジル大会から2050年までにW杯開催は10回しかない。

 前回の南アフリカW杯を制したあのスペインでさえも、13度目のチャレンジで初めて優勝できた。ベスト4、ベスト8などの経験があってようやく優勝したわけだから、日本も段階を踏みながら頂点を目指していくことになる。W杯はラッキーな要素だけで優勝できるほど甘くはない。2005年宣言には「2015年までに世界でトップ10のチームとなる」とあり、まずは早い段階でベスト10入りしておかないとW杯優勝という目標は遠のいてしまうだろう。

優勝国の共通点

 日本がW杯で優勝するためには、何よりもまず強くなることが肝要だ。
 では強くなるためには、何が必要なのか。強化、育成プランのロードマップはもちろん重要だ。戦術的には、日本スタイルの確立も大事な要素だろう。しかしながら、「内」ばかり見ているだけでは十分だとは言えない。今回は日本サッカーの「内」ではなく、「外」を見ていきたいと思う。

 W杯の歴史を振り返ってみると、言うまでもなく優勝は南米と欧州の2大陸の国しかなし得ていない。アメリカ、メキシコなどの北中米、カメルーン、ナイジェリア、コートジボワールなどのアフリカ、そして我々のアジアには一度たりとて優勝がない。この事実が意味することとは一体、何か――。

 南米、欧州の優勝国に共通して言えるのは、国内に充実した歴史あるプロリーグが存在すること。欧州CLやリベルタドーレス杯のようにクラブチームによる伝統的な大陸選手権もある。しかし、それだけが「ストロングポイント」ではなく、代表での南米、欧州内の戦い全体が高いレベルにあることだ。W杯予選や大陸選手権などでは同じ大陸内の国との戦いがメーンとなるわけで、ここが充実しているからこそレベルを引き上げることができている。

 南アフリカW杯のベスト4に入ったのはスペイン以外にオランダ、ウルグアイ、ドイツ。欧州と南米しかいなかった。ベスト8に広げても欧州、南米以外ではアフリカのガーナのみ。他の大陸との実力差が開いているという見方もできる。

 今年の日本代表の試合を見ると、全12試合のうちアジア勢との戦いが8試合、対世界が4試合という内訳だ。ただ、アジア勢以外との4試合はいずれもフレンドリーマッチだった。今年はW杯最終予選のため対アジアの戦いが多いようにも思えるが、昨年もアジアカップ、W杯3次予選があったため、対アジアとの試合がほとんどだった。コッパアメリカ(南米選手権)に参戦しようとしたのも世界と緊張感ある戦いが少ないという背景があったからだ(東日本大震災によるJリーグの日程変更で結局は参加辞退となった)。

 要は2050年までのW杯優勝を目指すには、代表スケジュールの75%にあたるアジア勢との戦いのなかでいかに世界レベルに引き上げていくかがポイントとなる。「日本が強くなっていかなければならない」から「アジア全体が強くなっていかなければならない」との捉え方も持つべきだ。