企業・経営
噴出する中村邦夫相談役、大坪文雄会長に辞任を求める声! 過去の経営判断ミスを認めない限りパナソニックの再生はない
2010年、社長時代の大坪文雄氏〔PHOTO〕gettyimages

 「パナソニックの中村邦夫相談役は役員退職金を会社に返還して相談役を返上し、同様に大坪文雄会長も会長職を辞任すべし」といった怒りの声が一部の大物OBや現役幹部から噴出し始めている。

 現在のパナソニックは、ご承知の通り2年連続で計1兆5,000億円を超える当期純損失を計上、1950(昭和25)年以来の無配に転じる。その原因が、中村邦夫・大坪文雄両社長時代の経営戦略にあるからだ。

 経営戦略に失敗は付き物で、過去の経営者の責任をいちいち追及していては、誰も「攻めの経営」ができなくなるといった指摘も受けそうだが、パナソニックの場合は「人災」の様相を呈している。中村邦夫氏と大坪文雄氏は経営判断上のミスを犯した。その責任は重く、免れることはできないと筆者は考える。中村相談役と大坪会長の経営責任をはっきりさせない限り、パナソニックの再生はないと言っても過言ではない。

パナソニックと東芝の経営者の判断力の差

 パナソニックは現在、市場競争力を失ったプラズマや、液晶といった薄型テレビ事業に無防備な設備投資を行って設備過剰に陥り、さらに相乗効果の低い三洋電機買収に多額の資金を投入し、のれん代償却という減損処理に苦しんでいる。

 悪質な「人災」と言ったのは、プラズマテレビが液晶テレビに負けることが明白になっていた時期にもかかわらず、2010年にプラズマ工場に1,500億円の追加投資を行って尼崎第3工場を本格稼働させたからだ。さらにシャープの堺工場に対抗するかのように、同年、2,350億円を投資して液晶の巨大工場を姫路市内に建設した。

 こうした投資に対して兵庫県は雇用の増大などを期待して多額の補助金を払ったが、尼崎にあった3つのプラズマ工場のうち2つはすでに休止し、姫路工場も減損処理をした。雇用増には貢献しておらず、結果として「税金」を食い物にする形となった。この責任も重いはずだ。

 薄型テレビのコモディティー化が進み、中村氏が社長時代に提唱した、自社で主要デバイスを生産して完成品を組み立てる「ブラックボックス戦略」が機能しなくなっていたのに、意地になった中村氏は自分の経営判断の誤りを認めず、利益が見込めない事業にずるずると追加投資を行ってきたのである。中村氏は会長就任後も「院政」を続け、パナソニックのトップであり続けた。そして意見を異にする役員を徹底的に排除し、「中村絶対王政」を築いた。

 パナソニックが薄型テレビで国内への過剰投資を推し進めた頃、東芝は時代の流れを見て、薄型テレビ事業を水平分業モデルに切り替えて、液晶パネルなどは外部から調達する方針に転換した。そして2011年には薄型テレビ事業とパソコン事業を統合させた。こうして東芝のテレビ事業の「出血」は少なくて済んだ。パナソニックと東芝の経営者の判断力の差が明暗を分けたと言えるだろう。

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