インフレターゲット設定見送りなら日銀法改正も!? 恫喝型アベノミクスに潜む3つのリスクを検証する
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 「次の会合で検討してもらうことになる。そうでなければ、日銀法を改正し、日銀と協定を結んで設ける」---。

 次回(2013年1月)の金融政策決定会合で、日銀が設置の是非を検討する方針を表明している年率2%のインフレターゲット(物価目標)に関連して、今日(26日)にも首班指名を受ける見通しの安倍晋三・自民党総裁は、23日午前のフジテレビの番組で、衆議院で圧倒的多数の議席を持つことを背景に、いざとなったら数の力にモノを言わせて、大胆な金融緩和を日銀に迫る考えを明らかにした。

 総選挙前から提唱してきた通りの経済対策(いわゆるアベノミクス)の実現に向けて、奮闘していると言ってよいだろう。

 しかし、こうした政府主導の金融緩和が本当に通用するのか。そもそも財政に大胆な出動の余地などあるのだろうか。3つの潜在的な弱点の存在を検証してみたい。

アベノミクスの基本は金融緩和と財政出動

 大胆な金融緩和と思い切った財政出動---。まだ新政権としての全容の公表はないが、総選挙後の安倍総裁の発言などから推測する限り、アベノミクスの基本は、これらの2つのオーソドックスな政策からなっている。

 総選挙戦直前には、"禁じ手"の日銀による国債の直接引き受けを示唆したと受け取れる発言があり、危うさを感じさせられる場面もあったが、総選挙後はこれまで、安倍総裁からそうした禁じ手の実施を迫る要求も出ていない。

 歴史的にみると、この2つの政策は、経済政策の専門家の間で、以前ほどパワフルな手段と考えられているわけではない。実態経済がバブルエコノミーとその崩壊で複雑骨折状態に陥る中、この2つの経済政策の効果にも限界が指摘されることが増えているのが実情だ。

 そんな中で、アベノミクスは、まず、日銀に対して、これまでより1%高い物価上昇率2%という高い目標を共有するように要求している。

 日銀は今月20日に、今年5回目となる追加の金融緩和措置に踏み切ったとはいえ、中身をみると毎回、多くの市場関係者が「最小限」と揶揄するような小出しの金融緩和にとどまっていた。これは、白川方明総裁の下で、日銀が「デフレに対しては金融政策の効果は限定的だ」といった通説を拠り所にするスタンスを採ってきたからだ。安倍自民党は、この点に着目して、日銀の姿勢を180度転換させようというわけである。

 ひとたび、インフレ目標ができれば、それを達成するまで、日銀は無制限におカネを市場に供給することを求められる。

 政府にすれば、これほど都合のよい状況はない。というのは、物価目標の達成までの間、日銀の無制限なマネー供給によって、いくらでも国債が発行できる環境が用意されることになるからだ。さらに言えば、その国債の大量発行によって財源を確保して、以前のように大胆な財政出動の道を開くこともできるというわけだ。

 実際、安倍総裁は、18日の都内における財界幹部との会合で、「デフレから脱却するために日銀と強調して円安・株高に持っていきたい」と強調したという。さらに、「財政規律はしっかり守っていく」としつつも、「(2013年度の)本予算がずれ込む可能性もあるので、まず大型補正予算を組み、切れ目の無いようしていきたい」と述べたという。

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