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日米韓翻弄!北朝鮮ミサイル発射の次は2月に核実験
東倉里の基地に設置された銀河3号。「修理のため一時撤去された」との情報に、世界が翻弄された〔PHOTO〕アフロ

「まさに〝寝首を掻かれた〟という感じです。日本も韓国も、そしてアメリカも完全に虚を衝かれた。北は12月9日に『発射を延期する』と示唆していましたし、韓国の政府筋も独自の情報源で『ミサイルが発射台から取り外された』と発表していましたから。対応に当たっていた政府の高官らも油断しており、11日夜にはアメリカの日本大使館で国連加盟国のパーティーも行われていたほどです」(外務省・東アジア担当職員)

 12日午前9時49分。韓国もアメリカもまったくその兆候をつかめないなかで、北朝鮮のミサイル(北朝鮮は人工衛星と呼称)が発射された。防衛省幹部は、今回の発射成功によって、北朝鮮の脅威が数倍にも増した、と明かす。

「まず、今年の4月に発射に失敗したときと違って、ミサイルを正常に発射させたこと。次に、予告していた位置にほぼ正確に着弾させたことに驚愕しています。今回の発射にはウクライナの技師たちが技術協力していたとのことですが、北朝鮮の軍事技術はこれから飛躍的に向上する可能性があります。そして日米韓の監視網を潜り抜けて、〝隠密作戦〟を成功させたことも驚きです。現在分析を進めていますが、情報戦においても、北朝鮮はわれわれの想定以上に進歩していることが明らかになったのです」

 ミサイル技術や情報戦術の進歩に加え、国際社会がさらに警戒すべきことがある。北朝鮮国内で金正恩第一書記(29)の指導力が低下し、軍部の強硬派が実権を握り始めた可能性があるというのだ。

東京・市ヶ谷の防衛省で有事に備えていたPAC3。全国で7ヵ所に配備されていたが結局出番はなかった〔PHOTO〕蓮尾真司

クーデターの可能性も

図表作成・アトリエプラン

 韓国国防部で北朝鮮情勢の分析に当たる高官が、こんな懸念を示す。

「今回のミサイル発射に際して、この11月に人民武力相に就任したばかりの金格植ら軍部の〝強硬派〟と、金正恩の間で激しい〝権力闘争〟が生じていた可能性があります。というのも、正恩は日本や韓国との対話ムードが醸成されているときに、ミサイルを発射して緊張感を高めることは避けるべきだと考えていた。しかし、強硬派は正恩の穏健路線に不満を持っており、正恩の指示を無視して発射の準備を進めたのです。発射が強行されたということは、正恩の指導力が低下していることを示しています」

 この高官は、北朝鮮内部で権力闘争が起こっている証左として、次のようなエピソードを明かす。

「最近金正恩氏が視察に出かける際には、機関銃で武装した警護員が同行するようになったことを確認しています。さらに、正恩氏の別荘などの重要施設では100台ほどの装甲車が常時警備にあたっている、との情報もあります。正恩氏は軍部がクーデターを起こすことを警戒していると考えられます」

 金格植・新人民武力相は、'10年に韓国の艦船・天安号の撃沈を計画し、さらに同年の韓国・延坪島砲撃事件を発令した人物だ。仮に軍部強硬派が実権を掌握すれば、コントロールが利かなくなった北朝鮮が、さらに過激な軍事行動に出る恐れがある。前出・防衛省幹部はこう危惧する。

「ミサイル発射を成功させた以上、北朝鮮の軍部は、故・金正日総書記の誕生日である2月16日に核実験を行う準備を進めているはずです。'06年7月、日本海に向けてテポドンが発射されたわずか3ヵ月後の同年10月に北朝鮮が核実験を実施していることからも、ミサイル発射と核実験は同時期に行われる可能性が非常に高いのです」

 急ごしらえの若き指導者・金正恩の権威が失墜し、実権を握った強硬派が核実験を成功させる。それはつまり、東アジアに〝制御不能の怪物〟が誕生することを意味している。今回のミサイル発射が、その序曲となる---。

「フライデー」2012年12月28日号より

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