賢者の知恵
2012年12月21日(金)

インチキがんワクチンはどうしてなくならないのか?
倫理なき日本の医師と品性なき厚労省の「犯罪」

上昌広(東京大学医科学研究所特任教授)

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粘性の高いこの白い液体が、がんペプチドワクチン

第2回はこちらをご覧ください。

ドラッグ・ラグは改善されたという「大本営発表」

 前回、がんワクチンの開発競争に世界中の製薬企業が鎬(しのぎ)を削っている様子を紹介した。これから数年内に6種類のがんワクチンの治験が終了する。ポジティブな結果が出れば新薬として承認されるだろう。がん3大療法(手術、抗がん剤、放射線治療)をやってもなお身体にがんが残っている患者、抗がん剤の強い副作用に悩む人には、まさに夢の治療薬、これ以上の福音はないかもしれない。

 しかし、オンコセラピーサイエンス社などの一部の製薬企業を除き、日本国内では、がんワクチンの治験は行われていない。ということは、がんワクチンが海外で承認されても、我が国ではすぐに使用できないことになる。つまり、これまで、がん患者をさんざん悩ませてきたドラッグ・ラグの問題が、がんワクチンにもふりかかることになるのだ。

 ドラッグ・ラグはがん患者の仇敵だ。海外で承認された新薬が、国内ではなかなか承認されなかったことが、がん患者を苦しめてきた。

 この問題を解決すべく、自公政権時代から膨大な税金が投じられてきた。医薬品の審査を担当する「医薬品医療機器総合機構」は、自公政権時代の2007年度から3年間で236人、政権交代後は2010年度に72人、11年度に44人が増員されている。政府は「ドラッグ・ラグは改善しつつある」と自画自賛し、今年5月、国家戦略会議による自己評価では「A評価」とされた。

 ところが、実態は逆だ。小野俊介准教授(東大大学院薬学系研究科)によれば、1996年は全世界で開発する医薬品の52%が、我が国で開発されたが、その比率は2010年には14%に低下している。

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