ドイツ
「割礼」禁止判決にユダヤ&イスラム教徒が猛反発!! ドイツ人の余計なおせっかいが巻き起こした大騒動に感じる他民族共生の困難
割礼禁止の判決について議論するラビたち 〔PHOTO〕gettyimages

 6月末、その騒動はケルンで始まった。ユダヤ教とイスラム教で男児に行われている「割礼」を、ケルンの地方裁判所が禁止したのだ。割礼というのは、男性器の包皮の一部を切り取る儀式で、ユダヤ教では生後8日目に行う。イスラム教のほうでは時期に決まりがないが、たいてい6歳から10歳ぐらいのようだ。

 いずれにしても、割礼はこの二つの宗教において、男子人生の最重要事項の一つである。ゆえにドイツの病院では、それが医療行為でないことは承知しながらも、親の希望に応じて割礼手術が行われてきた。法律的にはグレーゾーンとして認識されている。

新生児や幼児に対する割礼は傷害罪

 この事件のそもそもの始まりは、10年の11月まで遡る。ケルンのある外科病院で割礼の手術を受けたイスラム教の4歳の男児が、2日後、激しい出血のため大学病院に運び込まれた。この件は警察に届けられ、結果、検察が施術した医師を起訴したのだ。

 判決は、簡易裁判所で翌11年9月に下りたが、医師は、医学的ミスはなかったとして無罪。しかも、この手術は現状の法律では傷害であるが、①イスラム社会の一員となるための重要な伝統的儀式であり、②両親の許可の下、子供の幸せのために為されたもので、また、③医学的にそのメリットも認められるとし、割礼自体に事実上のゴーサインを出した。検察は即座に控訴した。

 その控訴審の判決が、前述のとおり、今年6月に出たのだが、それによると、医師は無罪のままだったが、割礼に対する一審の解釈が覆った。つまり、新生児や幼児に対する割礼は傷害罪であり、将来は、たとえそれが両親の宗教的確信によるたっての希望であっても、手術を行った医師、あるいは施術者は有罪になる。

 なぜなら、割礼は子供の意志と関係なく行われ、しかも、子供に苦痛を与える。つまり、子供が本来持っているはずの、傷つけられることなく健やかに生きるという権利を損なうからだ。どうしてもしたいならば、子供が自分で物事を決定できる時期(14歳)まで待ち、本人の意思で行えばよいという。

 この判決により、裁判所は、憲法で定められた子供の基本的人権の保護を、親の宗教的意志よりも上位に据え、事実上、新生児と幼児に対する割礼を禁止した(ただし、一地方裁判所の判決には、他の州での効力はない)。

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