サッカー
ファーガソンとベンゲルの長期政権は優れた人身掌握術によって実現した! ~「勝つ組織」を作り上げるリーダーの条件とは
サー・アレックス・ファーガソン(左)とアーセン・ベンゲル(右) 〔PHOTO〕gettyimages

 シーズンオフのこの時期は、毎日のように人事にまつわるニュースが報道されます。とくに今年のJリーグは、監督交代をするチームが多いと感じます。若い世代の監督が増えているので、余計にそういった印象が強いのかもしれません。

 監督を代える大きなメリットは、組織(チーム)の活性化にあります。

 レギュラー争いは横一線からのスタートとなり、それまで出場機会に恵まれなかった選手の意欲が高まります。レギュラーだった選手も、「ウカウカしていられない」と気持ちを引き締めます。競争原理が生まれるわけです。

 一方、監督を代えないメリットもあります。

 同じ監督のもとで戦っていく組織には、継続性があります。「前年までの戦いで守備力には自信を持てたから、今年は攻撃力を高めよう」といったように、段階的な積み上げが可能です。監督が代わらなくても選手を入れ替えれば---移籍などで選手を補強すれば、マンネリ化を防ぐこともできます。

人事権を掌握する〈全権監督〉ファーガソン

 ヨーロッパへ目を移すと、長期政権で結果を残している監督がいます。

 最初に思い浮かぶのは、サー・アレックス・ファーガソンでしょう。香川真司がプレーするマンチェスター・ユナイテッドの指揮官です。

 ファーガソンが監督に就任したのは、1986年(!)です。その間にサッカーのルールも、トレンドも、大きく変わっていきましたが、彼はマンチェスター・ユナイテッドというビッグクラブの監督を続けています。

 かくも長い政権を築くことができたひとつの要因に、人事権を握っていることがあげられます。ファーガソンは必要な選手を自分で獲得でき、放出できる環境にあります。〈全権監督〉とも言われています。

 デイビッド・ベッカムを全盛期に、クリスティアーノ・ロナウドを全盛期前にレアル・マドリーへ移籍させたのは、戦力面でも興行面でも相当に思い切った判断と言えます。ディエゴ・フォルランやルート・ファンニステルローイといった計算できるストライカーも、ファーガソンは手離しています。

 ビッグネームを放出しつつ、若手の獲得に積極的なのがファーガソンの特徴です。いまやバルセロナとスペイン代表に欠かせないジェラール・ピケも、かつてはマンチェスター・ユナイテッドに在籍していました。日本代表の香川の獲得も、ファーガソンらしい判断です。

 ビッグネームに依存せず、野心溢れる若手をチームに加えることで、彼は世代交代と活性化を両立させているのです。

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