読書人の雑誌『本』
『東京湯巡り、徘徊酒 黄昏オヤジの散歩道』著:島本 慶
黄昏オヤジの散歩道

 家風呂があるのに、銭湯に行くようになって一〇年くらいになりますな。でもってその流れで居酒屋の暖簾をくぐるようになって、やっぱり一〇年になります。何だかすっかり習慣になっております。

 振り返ってみるってぇと、これには色んな理由があるみたいですよ。時々飲みに行ってた「酔太郎」というお店で顔馴染みになった客が、近くにある「代沢湯」という銭湯のご主人だったりとか。それでその銭湯に通うようになったりとか。

 それでその「代沢湯」で知り合った人と、また違った居酒屋を覗いてみたり。とにかく湯上がりに飲むビール、チューハイ、ホッピーは旨い。ちなみにこの、「代沢湯」は今はありません。銭湯ってのは年々減ってますから。

 それから徘徊するようになって、銭湯が違えば居酒屋もまたかわるわけです。それがまた楽しくなる。運動不足から、歩くクセをつけようと散歩も加わるから、ウォーキングと風呂と酒がセットになっちゃう。それがまぁ、生きる楽しみというか喜びというか、そうなっていったわけです。

 ところで私の徘徊エリアの出発点は、三軒茶屋から下北沢に繫がる道、茶沢通り周辺でした。途中に北沢川緑道ってのがあって、その緑道がまた心地良い散歩道になってるんですな。だから「代沢湯」も「酔太郎」も、この茶沢通りと緑道が交差する周辺にありました。

 そういえば「あき」という居酒屋さんもありました。オバちゃん一人でやってる店で、

「年金もらえるようになって少し楽になったよぉ~」

 なんて喜んでましたから、当時六〇代だったはず。この店はカウンターだけ(五~六人)の小ぢんまりした店で、常連客はほとんどが独身男性。みんな湯上がりに独りでやってきて、ちょいと飲みながら食事してました。ようするに夕食をすませるわけですな。

 
◆ 内容紹介
「千ベロ」つまり、「千円札プラスアルファでベロベロになれる酒場」ブーム到来に投入する本書は「銭湯に入った後で安くベロベロ」略して「銭ベロ」を提案します。 価格、番台、設備、タイル絵のスタイル、入浴者のマナー、サウナの有無、などなどさまざまな項目をガイドしつつたっぷり汗を流し、最後に体重をチェックして出ます。 次はお楽しみの酒場パート。銭湯で情報を仕入れた、近所のオススメの店にフリの客として入り、やはりそのお店でオススメのメニューに舌鼓を打ちます。風呂で汗かき即ビール、そしてうまい酒肴。人生の喜びはこれに勝るものはありません。