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ITトレンド・セレクト
2012年12月20日(木) 小林 雅一

グーグルが雇用した危ない天才発明家とAIの行方

 ヴィンジ氏のようなSF作家がこれを言うだけだったら、それで終わりかもしれないが、カーツワイル氏のように正真正銘の発明家で技術的な裏付けも持った人がその後ろ盾となっていることから、シンギュラリティは全米でかなりの支持者を獲得している。

 彼らは年に1回、「シンギュラリティ・サミット」と呼ばれる集会を開いて、極めて真剣にその実現に向けたロードマップを検討している。彼らの予想では、機械が人間を超える日は2045年頃と見ている。

AI開発を強化したいグーグル

 さて、このようなカーツワイル氏を採用したグーグルの狙いだが、それは同社のAI開発力の強化に尽きる。同氏を採用する数日前、米フォーチュン誌のインタビューに応じたグーグルのラリー・ページCEOは「自動走行車(ロボット自動車)」や「人間の意図を理解する検索エンジン」などについて熱く語り、ページ氏の最大の関心が今、こうした分野にあることを伺わせた。

●「Fortune Exclusive: Larry Page on Google
 FORTUNE / December 11, 2012

 カーツワイル氏は今後、グーグルのフルタイム従業員として勤務し、(AIの主要分野である)機械学習と自然言語処理の技術開発を指揮するという。前回のコラムでも言及したが、AI(人工知能)は今、史上稀に見る技術革新の最中にある。

 現在のAIは大きく3つの学派に分けられる。1つは昔ながらのやり方で、たとえば文法や構文木(シンタックス)のようなルールをコンピュータに教え込み、それによって知的処理を行うもので、「ルール・ベースのAI」などと呼ばれる。2つ目は、そのようなルールはほぼ無視して、大量のデータをコンピュータに読み込ませ、それによって統計的、確率的なアプローチから知的処理を行うAIである。

 現在、勢いを増しているのは2つ目の学派で、グーグルで検索エンジンや機械翻訳などに携わっている社員はほぼ、この統計・確率派に属する人たちで占められている。ルール・ベースの古典的なAIは柔軟性に乏しく、実用化に向かないとする見解が主流となりつつあり、グーグルのエンジニアもほぼこのような見方をしていると思われる。

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