元日の夜は『ニッポンのジレンマ』で決まり!? ロスジェネ世代のポジ出し討論を見ながら、日本の未来を考えてみよう!

 暮れも押し迫った。大晦日の夜にはNHKで『第63回紅白歌合戦』が生放送される。70~80%の視聴率をマークした昭和の時代とは違い、過去8年間は40%前後に留まっているが、それでも今年最高の視聴率は6月12日の「サッカーW杯最終予選/日本対豪州」(テレビ朝日)で記録された35.1%だから、やはり怪物番組だ。

 視聴率40%だと、概算で約4000万人が見ていることになるため、出演する側も緊張するようだ。過去、ベテランの矢沢永吉や中島みゆきさえ出演時には歌詞を間違えた。もっとも、それを誰かが咎めたという話は耳にしない。年一度のお祭りだから、細かいことは問題とされないのだろう。

 お祭りらしく、出演陣やスタッフは番組を終えると、年が明けるころから打ち上げを行う。場所はNHK内の職員食堂。だからといって侮ってはいけない。食堂内には和洋の料理のほか、年越しそばや雑煮などが所狭しと並ぶ。もちろん、お酒も。歌手たちは大舞台で1年が終えられたことを喜び、スタッフは無事故で番組が終了したことを祝う。この場でマイクを手にトークなどを披露する歌手もいて、新年らしい華やかな雰囲気に包まれる。もっとも、残念ながら関係者以外は立ち入り禁止だ。

若年層の視聴者が能動的に見る番組

 年が明けると、元日の夜に同じNHKのEテレ(教育テレビ)で『新世代が解く! ニッポンのジレンマ』(午後11時)が放送される。1970年以降に生まれた文化人らによる討論番組で、今年の元日に1回目が放送された。タイトルは「震災の年から希望の年へ」だった。

 好評だったため、これまでに計5回放送。Eテレの番組ゆえ視聴率こそ一桁台だが、放送中はツイッターが番組の話題で持ちきりになる。検索ワードのランキングでは最上位。若者たちの関心度が高く、しかも自分たちの意見を次々とツイートするからだ。『ジレンマ』をテーマとするブログも数多くあり、若年層の視聴者が能動的に見る番組の筆頭格だろう。1970年より前に生まれた層の関心も高く、第1回では糸井重里さんが「観た! よかった」とツイートした。

 2回目以降のテーマは民主主義、教育、資本主義、国際関係論---。パネリストが20代、30代だからといって、決して甘く見てはいけない。これまでに出演したパネリストは飯田泰之・駒大准教授、評論家の荻上チキ(おぎうえ・ちき)氏、萱野稔人(かやの・としひと)・津田塾大准教授、人事コンサルタントの城繁行氏、フリーランスの安藤美冬さんら今の時代を代表する選りすぐりの論客たちなのだ。すこぶる中身の濃いトークが繰り広げられる。

 それでも舌戦になることはほとんどなく、これまでの討論番組とは一味違う。これも番組の特徴の一つだ。 

 「結局は『ポジ出しでいこう』ということになります」とは部長プロデューサーの丸山俊一氏。ポジ出しとはダメ出しの逆で、番組内で評論家の荻上チキ氏が口にし始めた言葉。相手の意見を否定するばかりでは非生産的だから、相手を認め合いながらポジティブに、前向きに討論しようということだ。

 確かにバトルトークはプロレスに似て、見る側は面白いが、討論が先に進まず、終わると何も残らないこともある。その分、『ジレンマ』は見る側に考え方や生き方のヒントを与えているようだ。

 「せっかく同じ世代の仲間が討論するのですから、なにか提言していこうという思いがあるようです」(同)

 もちろん、構成は番組側が考えているが、あくまで叩き台に過ぎず、討論の場に予定調和はない。

 「事前に頭でつくってはいけないと思っていますから。スタジオに集まってくださった人たちが、どう秩序を生んでいくのかも一つの実験だと考えています。ドキュメントのつもりでつくっています」(同)

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