「圧勝は大敗のもと」を知る安倍総裁、"失敗が評価される日本"を作り上げられるか!?
〔PHOTO〕gettyimages

自民比例得票率は前回選挙と変わらず

 ふたを開けてみたら予想通り自民党の圧勝で終わった総選挙。安倍晋三氏が5年ぶりに総理に返り咲くことになる。大勝にもおごらず引き締まった様相の安倍晋三氏が印象的であった。前回の総選挙で大勝した鳩山氏やその前の総選挙で大勝した小泉氏の様子とは全く違い、敗者ではないかと見まがうほど喜びのかけらもない表情であった。それは「3分の2という麻薬」を理解しているからだと思う。

 メディアは「自民党への風を感じていなかったから」と勝手な憶測をぶつ。確かに自民党の比例区の得票率は大敗した09年とほぼ同じだ。自民党に対する積極的な支持ではなかった。だが、安倍総裁が喜ばないのはそんなことではないと思う。「自民党の転落は3分の2をとった郵政選挙から始まった」ということを安倍総裁は痛感しているのだと思うのだ。

 第1期安倍政権の失敗の原因を作った参議院選挙が、奇しくも第2期安倍政権の第一関門となる。まさに奇縁であり、失敗から学んだ成果が問われる機会だ。5年前、私は第1期安倍政権で内閣府大臣政務官に任命された。安倍総理から直接任命状をいただき、経済財政・再チャレンジ・地方分権・金融と4つもの担当分野があったので、官邸での会議では頻繁に安倍さんとご一緒した。

 圧勝した小泉郵政解散の議席を受け継いでの前途洋々たる船出だったが、圧勝は人を無警戒にし組織を弱くする。人柄がよく友人を大切にするので、造反組を復党させ、自らと考えや思想が合う付き合いの長い議員を登用した。彼らが官僚や党内幹部を敵に回しても、失言しても、寛大に対応していた。当選回数で上回る同世代議員たちの安倍氏の早い出世へのやっかみもよく耳に入っていたが、どこ吹く風という感じであった。

 当時の自民党は「敵は内にあり」というより「敵は内以外になし」という感じであった。大勝した郵政選挙の後でもあったし、そもそも政権を失うリスクなど私も含めて誰も想定したことがなかったと思う。質問することしか仕事がない当時の万年野党民主党からも「政権を取れる。取ろう」との気概を見たことがなかった。小沢氏抜きでの民主党の実力が今回の第三局並みの議席数なのだと思う。

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