安倍自民の勝因は争点を金融政策にしたこと。3月の日銀人事までにインフレ目標・金融緩和が効果をあげないと国会運営は厳しくなる
単独過半数という対象をおさめた真因は PHOTO Getty Images

 総選挙は自民の圧勝だった。これは事前に予測されたとおりである。ただし、自公で衆議院3分の2までとるとは正直言って驚いた。民主57、自民294、公明31、共産8、社民2、維新54、みんな18、未来9、その他7。

 筆者は、阿部重夫さん(雑誌FACTA編集長)、長谷川幸洋さん(ジャーナリスト)、山崎元さん(経済評論家)と20時からテレビを見ながら、酒も入って議論した。この様子はニコ生でインターネット中継された。http://live.nicovideo.jp/watch/lv118753274

 途中、長谷川さんが安倍晋三自民党総裁、猪瀬直樹東京都副知事に電話した。現代ビジネスのほうで、江田憲司みんなの党幹事長、平将明自民党代議士、渡辺喜美みんなの党代表に電話をかけた。これらの方々から、日頃電話がしばしばあるのだが、公衆の前で話すのはちょっと気が引けた。

 筆者は、根っからのシャイな政策マンなので、自分から政治家に電話することはめったにない。政策について、自ら売り込む人は多いが、筆者はやらないのをモットーとしている。政治家が求めていないモノは売り込んでも意味ないと思っているからだ。政治家に興味があれば連絡が必ずある。その時に対応するのが重要で、電話などの連絡があればその時に素早く対応する。

 自民大勝の原因について、マスコミでは、民主党の体たらく(普天間問題や原発事故対策の迷走、マニフェストに書いていない消費税増税の強行など)があった中で、第三極が一本化できなかったので、消去法として自民党に流れたという解説が多いだろう。

 たしかに、小選挙区ではあり得る話だ。このストーリーを全面的に否定するわけでないが、自民党の仕掛けにも勝因があると思う。というのは、今回の総選挙では、前々回の郵政民営化、前回の政権交代というシングルイシューではなく、多くの争点があったからだ。

 今回の争点は、当初、消費税増税、脱原発、TPP交渉参加といわれていた。これだと、民主、自民、公明の既存政党と第三極は対立図式になりやすい。

 そこで自民党はうまい戦略をとった。金融政策で景気対策を仕掛けたのだ。本コラムで指摘したように、デフレ脱却には金融政策が効果的であるし、実は金融政策は雇用対策になるので、本来であれば民主党などの左派、リベラルの政党が言い出すべきものだ。それを、右派政党の自民党から言いだしたので、民主党などは完全にお株を奪われた格好だ。

あるテレビでは、国民の関心事項では約半数が景気・雇用と圧倒的多数だった。消費税増税、脱原発、TPP交渉参加はマスコミが言うほどに関心は高くなかった。そういう中で自民党は、景気・雇用対策を金融政策で対処するという、これまでなじみのない政策を打ち出した。

金融政策を雇用対策に使うのは世界の常識

本コラムの読者はわかっていると思うが、金融政策をマクロ経済景気政策、雇用対策として使うのは世界の標準であるが、何しろ、金融緩和の意味すらわからない人がほとんどだ。そのため、安倍総裁が主張する注目の政策なので、何と筆者にまでテレビのワイドショーからも解説依頼が来てしまった。

以下は、筆者が金融政策について、よく使っている資料だ。筆者の話は、プリンストン大時代にバーナンキ教授(現FRB議長)に教えてもらったことだ。バーナンキFRB議長はリーマン危機から米国を救ったし、他の国でも同じことをやっている実績のある話にすぎない。この程度の話でも、なかなか伝わらないのは結構もどかしい。

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