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死ぬ瞬間はこんな感じです。死ぬのはこんなに怖い

医者は本当のことは言いません
週刊現代 プロフィール

 人々がこういった困難に直面するとき、釈氏は「仏教では生きることは苦しみとも説く」と指摘する。

「『死』について苦悩するのは、人間にしかできない特権です。確たる信念を持っても人の生死は人間の手でコントロールできない。生死に関する考え方は情況によって変化するものです」

 なるべく恐怖を抱かずに死の瞬間を迎えるための策として、一つ参考にしたい考え方がある。

「インドの聖地バーラーナシーには人を看取るための『死を待つ人の家』があり、人々は死が訪れるのをじっと待っている。彼らは宗教上、『輪廻』という概念を強く信じている。だから死や別れを恐れないのです。

 一方、今の日本人はどうでしょうか。昔の人は年を取り、自然にものが食べられなくなると、だいたい2週間ほどで枯れ木のようにやせ細り、亡くなっていった。しかし、現代人は様々な治療を講じて、むしろ、別の苦しみを増やしてしまっている。生きたいという我欲が死への恐怖を生んでいるのでは、という視点が欠けています」(釈氏)

 人間は死ぬために生きている。刻々と死に向かっていくことを理解して、老いや病を引き受ける。それが我々が目指すべき、恐怖を感じず死を迎える理想的な方法かもしれない。

「週刊現代」2012年12月15日号より